FTLDの病理分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 01:31 UTC 版)
「前頭側頭葉変性症」の記事における「FTLDの病理分類」の解説
FTLDはあくまで臨床分類であり、臨床徴候と背景病理が一対一対応しない。2001年McKhannらが封入体の有無およびその構成成分から主に3群に分類した。第1群はピック病を中心としたタウ陽性封入体を有する疾患群でありタウオパチーと総称される。第2群はユビキチン陽性タウ陰性NCIを伴うFTLDでありFTLD-Uといわれた。これらは後にTDP-43の同定によって分類の変更がおこる。第3群はどちらの封入体も認められないDLDH(dementia lacking distinctive histology)である。DLDHと診断されても高感度のユビキチン染色を行うと多くの症例で陽性となり最終診断がFTLD-Uとなることも多く、本来はDLSHは稀であるという指摘もある。2007年にCairnsによって改訂されたFTLDの病理分類では、FTLDの背景病理が実に多様であり、PSPやCBDまでもFTLDに含まれている。分類は2010年に再改訂された。 FTLD-tau 3リピートタウが優位な疾患としてはPick球を伴うFTLD(ピック病)、MAPT遺伝子変異を伴うFTLD(FTLD-17)が知られている。4リピートタウが優位な疾患としては大脳皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺、嗜銀顆粒性認知症、認知症を伴う多系統タウオパチー、MAPT遺伝子変異を伴うFTLD(FTLD-17)が知られている。3および4リピートタウが蓄積する疾患としては神経原線維変化型認知症、MAPT遺伝子変異を伴うFTLD(FTLD-17)が知られている。 FTLD-TDP タウ陰性でユビキチン陽性の封入体をもつFTLD-UのうちTDP-43が陽性のものである。MNDを伴うFTLD-U、MNDを伴わないFTLD-UのほかGRN変異を伴うFTLD、TARDBP変異を伴うFTLD、VCP変異を伴うFTLDなどが分類される。なおTDP-43陽性構造はその出現パターンから1~4型に分類されておりFTLDにおける臨床病型との対応が指摘されている。 FTLD-FUS 神経細胞性中間径フィラメント封入体病、非典型的FTLD-U、好塩基性封入体病、FUS変異を伴うFTLDなどが含まれる。FUS(fused in sarcoma)はヒト粘液性脂肪肉腫において癌化を誘導する因子として同定された。その後ユーイング肉腫、急性骨髄性白血病を発症させることが報告された。その後2009年に家族性筋萎縮性側索硬化症であるALS6でFUS遺伝子の変異が見つかった。FTLD-UのなかでTDP-43陰性例でFUSが蓄積するものが認められ、その後、神経細胞性中間径フィラメント封入体病、好塩基性封入体病などでもFUS陽性例が報告されFTLD-FUSという概念ができた。 FTLD-UPS FTLD-UのうちTDP-43陰性のものである。CHMP2B変異を伴うFTLDなどが知られている。 FTLD-without inclusion DLDH、進行性皮質下グリオーシスが考えられる。
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