EHD発電機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/26 09:04 UTC 版)
イオンを注入した液体や帯電粒子を含む気体など、荷電流体によって電荷を運ぶ発電方式はEHD発電(electrohydrodynamics、電気流体力学(英語版))と呼ばれる。EHD発電の研究の始まりは1840年に発表されたアームストロング式水力発電装置だとされる。これはボイラーから噴出する高圧蒸気が電荷を帯びていることを利用して、蒸気を集電電極に吹き付けることで電荷を集積するものだった。Steutzer、Secker、Hughesらは、絶縁性の流体に電荷を与え、ポンプで高電位端子まで送りこむことで電荷を蓄積する方式の起電機を発明した。この方式は構造が単純であり、液体の絶縁破壊強度が大きいことなどにより装置を小型化できるなどの利点がある。 1980年代の初め、風力をエネルギー源とするEHD発電のアイディアがMarksによって提案されたが、実用化に至らなかった。2006年、デルフト工科大学のDjairamらはEWICON(Electrostatic WInd Energy CONverter、「静電風力エネルギー変換器」)という名の風力EDH発電機を試作した。機械的な可動部を持たず、大気中に噴霧された帯電水滴を風が高電位電極まで運ぶ構造になっており、風力のエネルギーを直接電気エネルギーに変換する方式である。発電効率は回転翼型の発電機に及ばないが、構造が単純なため低コストであり強風にも耐えられることから、実用化に向けた取り組みが行われている。
※この「EHD発電機」の解説は、「静電発電機」の解説の一部です。
「EHD発電機」を含む「静電発電機」の記事については、「静電発電機」の概要を参照ください。
- EHD発電機のページへのリンク