DNA修復機構の起源
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/29 13:52 UTC 版)
地質学的な年代順位の観点からは、遺伝子情報をコード化する手段として核酸を利用するようになって間もない先カンブリア時代から発展させ始めていたことが示されている。この時代に大気中の酸素は着実に増加し始め、後のカンブリア紀における光合成植物の爆発的な増加を経て、私達のいる今日の水準に到達した。酸素の多くはビラジカルとして存在し(三重項酸素)、反応性は高くないもののラジカルとして振舞う他、紫外線吸収によって励起されより反応性が高く細胞や細胞間基質への障害性の高い一重項酸素となる。また、好気的な生物ではミトコンドリアの呼吸鎖でATPを生成する際、酸素から水以外にもスーパーオキシドという活性酸素が生じてしまう。このように大気中に大量に存在する酸素は、好気生物にとっては生存に必須な分子であると同時に、本質的に毒性をもつ分子であるため、それによる損傷を抑制し、修復する機構の発展が相当古い年代から必要とされた。こうした背景から、この機構の起源は我々の遠い先祖にまで遡り、ヒトとマウスあるいはハエどころか、酵母のような、進化的にかなり離れた種の間にも共有する高度に保存されたDNA修復機構を見ることができる。
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