DNA修復における役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 15:33 UTC 版)
「増殖細胞核抗原」の記事における「DNA修復における役割」の解説
DNAポリメラーゼδやε(英語版)はDNA修復時に除去された損傷DNA鎖の再合成に関与しているため、PCNAはDNA合成とDNA修復の双方に重要である。 PCNAは複製後修復(英語版)(PRR)と呼ばれるDNA損傷トレランス経路にも関与している。PRRには2つのサブ経路が存在し、損傷乗り越え(translesion)経路は損傷したDNA塩基を活性部位に取り込むことができる特殊なDNAポリメラーゼによって行われ(通常の複製ポリメラーゼは停止してしまう)、鋳型乗り換え(template switch)経路では相同組換え装置のリクルートによって損傷部位の迂回が行われると考えられている。PCNAはこれらの経路の活性化や、どちらの経路が利用されるかの選択に重要である。PCNAはユビキチン化による翻訳後修飾が行われる。PCNAのリジン164番のモノユビキチン化は損傷乗り越え経路を活性化する。このモノユビキチンに対して非典型的なリジン63番連結型のポリユビキチン化が行われると、鋳型乗り換え経路が活性化されると考えられている。さらに、PCNAのリジン164番(と程度は低いもののリジン127番)のSUMO化は鋳型乗り換え経路を阻害する。SUMO化されたPCNAはSrs2と呼ばれるDNAヘリカーゼをリクルートし、相同組換えの開始に重要なRad51ヌクレオタンパク質フィラメントを破壊することでこの拮抗的な作用を示す。
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