DC SQUID
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/10 23:33 UTC 版)
「超伝導量子干渉計」の記事における「DC SQUID」の解説
DC SQUIDは、ジョセフソンが1962年にジョセフソン効果を予言し、ベル研究所のジョン・ローウェルとフィリップ・アンダーソンにより1963年に初めてのジョセフソン接合が作られたことを受けて、フォード研究所の J. Lambe, James Mercereau, Arnold Silver により1964年に発明された。一つの超伝導体ループに対向して挿入された二つのジョセフソン接合を持つ。直流ジョセフソン効果に基いており、磁場がまったくない場合は電流 I は二つの分岐に等しく流れ込む。ループに小さな外部磁場を印加すると、遮蔽電流 Is が外部磁場を打ち消すようにループに循環し始める。誘導電流は片方の接合では I と同じ向きに、もう片方の接合では I と逆になるので、総電流はそれぞれ I + Is と I − Is になる。どちらかのジョセフソン接合で臨界電流 Ic を越えると、接合に電圧がかかり始める。 ここで、外部磁場が磁束量子の半分 Φ0 / 2 を超えたとする。超伝導体ループの中に閉じ込められる磁束は磁束量子の整数倍にならなければならないので、磁場を遮蔽するよりも Φ0 に増やした方がエネルギー的に安定となる。そのため、遮蔽電流は逆に流れ始め、この反転が外部磁場が Φ0 の半整数になるたびに繰り返される。従って、臨界電流は印加磁場の関数として振動する。入力電流を Ic より大きくすれば、SQUIDは常に有限抵抗モードで動作する。この場合、印加磁場の関数として電圧の周期は Φ0 となる。DC SQUID の電流-電圧特性はヒステリシスを持つため、これを除くためにシャント抵抗 R を接合に並列に接続する(銅酸化物ベースの高温超伝導体の場合、接合自体の内部抵抗で大抵は事足りる)。遮蔽電流はループの自己インダクタンスで印加磁場を割った値になる。従って ΔΦ を ΔV の関数(磁場-電圧変換器)により次のように見積ることができる。 ΔV = R ΔI 2I = 2 ∆Φ/L, ここで I は超伝導ループの自己インダクタンス ΔV = (R/L) ∆Φ この節の議論はループ内の磁束が完全に量子化されていることを前提としている。しかし、これは大きな自己インダクタンスを持つ大きなループについてのみあてはまる。上の関係式によれば、小さな電流および電圧の変動も示唆される。実用上、ループの自己インダクタンス L はそれほど大きくない。一般の場合は次のパラメータを導入することにより評価できる。 λ = i c L Φ 0 {\displaystyle \lambda ={\frac {i_{c}L}{\Phi _{0}}}} ここで ic はSQUIDの臨界電流である。通常、λ は 1 のオーダーである。
※この「DC SQUID」の解説は、「超伝導量子干渉計」の解説の一部です。
「DC SQUID」を含む「超伝導量子干渉計」の記事については、「超伝導量子干渉計」の概要を参照ください。
- DC SQUIDのページへのリンク