BIOSの書き換えとトラブル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/13 09:22 UTC 版)
「Basic Input/Output System」の記事における「BIOSの書き換えとトラブル」の解説
BIOSはROMに格納され、コンピュータに組み込まれた形で提供される(2011年現在、BIOS ROMはLow Pin CountバスまたはSPIによってサウスブリッジに接続される)。基本的にはBIOSは書き換える必要がないものだが、バグの修正や新機能サポート時に更新されることがある。 1990年代中頃までのPCでは、ROMとしてマスクROMやOTPROM、UV-EPROMなどが用いられ、大きな問題がない限りBIOSの更新はあまり想定されていなかった。また、ROMの書き込みにはROMライターといった装置が必要になり、ユーザの手元ではROMは書き換えられないのが普通であった。 フラッシュメモリが実用化され普及してくると、BIOSをフラッシュメモリに格納しユーザの手元でコンピュータを開けずにアップデートできることを売りにしたマザーボード製品が発売された。具体的な書き換え方法としては、書き換え用にフロッピーディスクに簡素なOS(主にMS-DOSやその互換OSが利用される)の環境を作成、そこから起動し、書き換え用ソフトウェアを起動することで簡単に書き換えを行う事が可能となった。さらに2000年以降はフロッピーディスクから起動せずともWindowsやUnix系OSといった統合環境上で直接書き換えすることができるようになった。現在では、「BIOSの設定画面上でBIOSを書き換える」といったシステムを備えたBIOSも登場し、書き換え方法の選択肢が広がっている。 しかしBIOSの書き換え中に停電など何らかのトラブルで書き換えに失敗した場合、大抵そのコンピュータは全く起動しなくなる。したがって、メーカーは「PCに問題があってその解決方法がBIOSアップデート以外に存在しないときやOSのアップデート時にのみアップデートを実行してください」などと注意を促している。 BIOSはコンピュータの起動の根幹であるため、内容が破壊されるとそのコンピュータ自身では再セットアップすら出来なくなる。(空っぽのフロッピーやUSBメモリなどを使った復旧手段を用意しているBIOSがほとんどだが、それが失敗するか存在しない場合は)復旧する方法はBIOS ROMの交換(大抵の場合は精密なはんだ付けが必要なためメーカー修理となる)、または専門の業者などで「ROM焼き」と呼ばれる復旧作業をしてもらうのいずれかである。BIOS ROMがソケットに差し込まれているタイプのマザーボードでは自身で同一のマザーボードを用意し、起動後に問題のあるBIOS ROMに差し替え再書き込みをするという荒業も可能ではあるが、起動中のコンピュータのBIOS ROMを抜く事は大変危険である為推奨されない。また、2000年以降に出回っているコンピュータ(マザーボード)によっては、ROMを2つないし4つ持っているものもあり、別バージョンへの切り替えができるようになっているものもある。
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