ACTH療法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/07/08 17:39 UTC 版)
日本国内で行われているもので、最も効果的な治療薬として、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)が挙げられる。下記のビガバトリンのない日本国内では、ほぼ唯一効果的な治療といえる。ACTHには、天然型と合成型があり、国内では合成型治療薬(ACTH-Z:コートロシンZ(商標))を使用される。治療のプロトコールとしては、体重(kg)あたり0.01-0.015mgのACTH-Zを筋肉内に1日1回注射する。連日で2から3週間使用し、そのままやめる場合、さらに間隔を広げて2から4週程度かけてゆっくりと中止する場合とがある。また、0.005mgや1週間など、できるだけ少ない量を目指しているものや、少量から始め効果により増量を試みるものもある。日本国外では、一般にこれらよりも多い量が使用されており、双方に言い分があるが、アメリカでも日本の量に近づけた少量化の傾向にある。 有効率は文献により大きく異なるが、短期的に発作が止まるのは7割程度という文献が多い。再発は3割程度と考えられる。 薬理なぜ効果があるのかは仮説の段階でしかない。この治療は、てんかんの中でもほとんどウエスト症候群にしか用いない。ACTHがフィードバックCRHを減少させること、CRHが脳細胞の破壊・てんかんの誘発に関係していると動物実験により認められたことから、CRH仮説がよく唱えられる。その他、促進分泌されたステロイドホルモンが脳細胞の転写因子として転写促進する、髄鞘化を促進する、カルシウムの神経細胞内流入を促進する、GABA(A)受容体に促進的に働く、免疫抑制作用により免疫原性のてんかん促進因子を抑制する、などが挙げられている。 副作用ACTHは体内のステロイドホルモンを分泌させるため、基本的には経口ステロイド剤と同じような副作用が起きうる。ほぼ治療中に認めるのは不機嫌・肥満であり、その他重篤な結果を招きかねないものとして、感染症にかかりやすい(易感染)・心筋肥大・頭蓋内出血・低カリウム血症などが挙げられる。しかし、重篤なものは現在の日本のプロトコールでは少なく、死亡例はほとんど認めない。欧米の使用量では、現在でも文字通り命を掛けた治療である。
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