A-マイナーモチーフ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/22 16:12 UTC 版)
「核酸の三次構造」の記事における「A-マイナーモチーフ」の解説
A-マイナー相互作用 I型A-マイナー相互作用: I型の相互作用は最も一般的で最も強固なA-マイナー相互作用である。多数の水素結合を伴い、副溝へ差し込まれたA塩基は埋め込まれる。 II型A-マイナー相互作用: II型相互作用は、アデノシンの2'-OH基とN3の相互作用を伴う。アデノシンは副溝のシトシンの2'-OH基と相互作用する。この相互作用の強さはTypeI相互作用と同程度である。 A-マイナーモチーフは普遍的にみられるRNAの三次構造モチーフであり、対合していないヌクレオシドがRNA二重らせんの副溝に挿入されることで形成される。それゆえ、minor groove triplexの一例である。グアノシン、シトシン、ウリジンも副溝での三重鎖相互作用を形成することはできるものの、アデニンによる相互作用が極めて一般的である。アデニンの場合、挿入塩基のN1-C2-N3端は、二重らせん塩基の他に、一方または双方の2’-OH基とも水素結合を形成する。挿入塩基を受け入れるのは、多くの場合G-C塩基対である。 A-マイナーモチーフは、ワトソン-クリック型塩基対の2'-OHに対する挿入塩基の相対的な位置に基づいて、0型からIII型の4つのクラスに分類される。I・II型のA-マイナーモチーフでは、アデニンのN3は二重らせんの副溝内部へ深く挿入され、塩基対とは良い形状相補性を示す。0・III型と異なり、I・II型相互作用はその水素結合パターンからアデニン特異的である。III型相互作用では、挿入塩基のO2'とN3の双方が二重らせんの副溝とより離れた位置で結合する。0・III型モチーフの相互作用は1つの2’-OH基によって媒介され、より弱く非特異的である。 A-マイナーモチーフはリボソームで最もよく見られるRNAの構造モチーフであり、tRNAの23S rRNAへの結合にも寄与している。グループIIイントロンのコアでみられるように、ほとんどの場合ループやヘリックス部分で二重らせん相互作用を安定化している。 A-マイナーモチーフの興味深い例は、アンチコドンの認識における役割である。リボソームはコドン-アンチコドンの正確な対合と不正確な対合を見分けなければならず、その過程の一部は副溝へのアデニン塩基の挿入によって行われている。不正確なコドン-アンチコドン対合ではヘリックスの形状が歪み、A-マイナー相互作用による結合安定化が妨げられ、不正確なtRNAの解離速度が増加する。 23S rRNA中のA-マイナーモチーフの分析によって、構造に依存した階層的ネットワークが存在することが明らかとなり、リボソームの進化や現代の細菌の大サブユニットの発展をもたらしたイベントの順序との関連が示唆されている。
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