21世紀の楠木正成像
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 04:59 UTC 版)
前節までの評価は、楠木正成という人間を一つの型に押し込めるものであった。しかし、その後の研究の進展により、正成は本質的に多才・多面的な人間であったことが明らかになってきている。 生駒孝臣によれば、正成のような畿内の武士は、複数の側面を持つことが普通であったという。つまり、正成は、交通・流通路の支配者として財を稼いだ大商人であり、朝廷・後醍醐天皇に仕えた廷臣でもあり、幕府の御家人でもあり、かつ幕府から訴追された悪党(反抗者)でもある。どれか一つが正しい正成像なのではなく、むしろこれら全ての顔を持っているという点が正成の実像なのであるという。 また、正成は、建武政権下で、名和長年と共に、最高政務機関である記録所の寄人(職員)に大抜擢された。後醍醐天皇の人事政策は、破天荒と言う俗説に反し実際は穏健なものが多いが、正成の記録所への登用は例外的な抜擢人事である。森幸夫によれば、一般的には武将としての印象が強い正成だが、官僚的能力に優れた中原氏や小田時知、伊賀兼光といった他の寄人の顔触れを見る限り、正成も実務官僚として相応の手腕を有していたのではないか、という。
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