2階算術の使用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 05:20 UTC 版)
逆数学は2階算術の部分体系において研究されることが多い。その場合、数学的対象を自然数と自然数の集合によって形式化しなければならない。例えば、自然数のペアを1つの自然数として表現することができ、自然数のペアによって有理数を表現する。有理数の集合(これは結局、自然数の集合として表現される)によって有理数の列を表現し、有理数の列のうちコーシー列であるようなものによって実数を表現することができる。逆数学の研究においては、弱い部分体系であって数学的対象を形式化できる程度には強い体系を基本体系として用いる。 逆数学が集合論ではなく2階算術を用いるのは、弱い部分体系であって数学的対象を形式化できる程度には強い体系を2階算術では自然に定義することができるからである。 2階算術を使う場合、数学の定理を制限しなければならない。例えば、2階算術では一般のベクトル空間は表現できない。そのため"すべてのベクトル空間は基底をもつ"という一般的な原理は表現できないが、"すべての可算なベクトル空間は基底をもつ"という原理は表現することができる。同様に、代数の定理の対象は可算な群や環や体についてのものになる。また、距離空間を対象とする解析や位相の定理は、実数を有理数のコーシー列によって表現したのと同様の手法により、可分な距離空間について考察することができる。なお、定理を可算なものに制限した場合、本来の定理とその強さが全く異なる場合がある。例えば、"すべての体は代数的閉体をもつ"はZF集合論では証明できないが、"すべての可算な体は代数的閉体をもつ"と制限すれば、非常に弱い弱い形式体系である RCA 0 {\displaystyle {\mbox{RCA}}_{0}\,} でも証明することができる。
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