2号基準問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 06:31 UTC 版)
2号基準(気体排出口)は、主に煙突などの高い位置の気体排出口に適用される基準である。排出された気体は大気に拡散されるが、地上におけるその濃度が最大になる地点(最大着地濃度地点)が敷地境界の外にある場合に適用される。また、都市部等で周辺の臭気の影響が強く、1号基準(敷地境界)での測定・規制が相応しくない場合にも適用されることがある。悪臭防止法による規制を実施するかどうか、2号基準を適用するかどうかなど、その運用は市町村が判断しており、それぞれの自治体で対応に差がある。 2号基準の規制値では、以下の問題が発生している。 立地と規制区域による問題 規制のない区域や規制値のゆるい区域に立地する工場の煙突の煙が、規制値の厳しい区域に落ちる場合でも、その工場の立地する区域の1号基準を基に2号基準の規制値は計算される。工業団地の風下方向に隣接する住宅街では、ゆるい基準で規制された工業地帯からの合法的な臭気により悩まされる問題が発生している。 規制方式(特定悪臭物質・臭気指数)の違いによる問題 最大着地濃度地点が敷地内である場合、局長通達により、特定悪臭物質規制では2号基準が適用されないことになっている。しかし、臭気指数規制ではその局長通達に該当する運用規則がなく、明らかに敷地内に最大着地濃度地点がある工場であっても、それぞれの気体排出口が規制対象となる。臭気指数を採用する市町村が悪臭規制の強力な手段として2号基準を活用する一方、畜産業者からは行き過ぎた規制であるとの反発も発生している。 畜産業者への臭気指数2号基準の適用は、平成24年1月に米沢市が市内の養豚業者に対して実施した行政指導が初めてといわれている。養豚業者は対象となった畜舎での生産を停止した。 局長通達 昭和47年8月31日 環大特48号 悪臭防止法の施行について 「気体排出施設から排出され、大気中で拡散された悪臭物質の濃度が最大となる地点が当該悪臭物質を排出している事業場の敷地内である場合においては、法第4条第2号の規制基準の設定の趣旨にかんがみ、当然に、当該規制基準を適用する必要がなく、同条第1号の規制基準が適用されるものであること。」
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