1次元格子の古典論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/01 05:24 UTC 版)
原子の3次元格子を扱う前に、単純化した1次元格子(または線形鎖)のモデルを考える。このモデルでも十分に複雑で、フォノンの重要な特徴が表れている。 原子間に働く力は線形で、最近傍のみ働くと過程すると、弾性ばねによって表される。それぞれの原子は点粒子と仮定し、原子核と電子は互いに足並みを合わせて運動すると考える(断熱近似)。 n − 1 n n + 1 ← d → ···o++++++o++++++o++++++o++++++o++++++o++++++o++++++o++++++o++++++o··· →→ → →→→ un − 1 un un + 1 ここでnはn番目の原子、dは鎖が平衡状態にあるときの原子間距離、 unはn番目の原子の平衡位置からの変位である。 Cをばね定数、mを原子の質量とすると、n番目の原子の運動方程式は次にようになる。 − 2 C u n + C ( u n + 1 + u n − 1 ) = m d 2 u n d t 2 {\displaystyle -2Cu_{n}+C\left(u_{n+1}+u_{n-1}\right)=m{\frac {d^{2}u_{n}}{dt^{2}}}} これは結合方程式であり、解は振動的だと予想されるため、離散フーリエ変換によって新たな座標を定義して分解することができる。ここで解として次を考える。 u n = ∑ k = 1 N U k e i k n d {\displaystyle u_{n}=\sum _{k=1}^{N}U_{k}e^{iknd}} ここでndは通常の連続変数xを置き換える。 Ukは基準座標として知られている。これを運動方程式に代入すると、次のように分解される(これには離散フーリエ変換における正規直交性と完全性関係が必要である。 2 C ( cos k d − 1 ) U k = m d 2 U k d t 2 {\displaystyle 2C(\cos {kd-1})U_{k}=m{\frac {d^{2}U_{k}}{dt^{2}}}} これは次の解を持つ調和振動子の運動方程式である。 U k = A k e i ω k t ; ω k = 2 C m ( 1 − cos k d ) {\displaystyle U_{k}=A_{k}e^{i\omega _{k}t};\qquad \omega _{k}={\sqrt {{\frac {2C}{m}}(1-\cos {kd})}}} それぞれの基準座標Ukは、基準モード(ノーマルモード)として知られる波数kを持つ格子の独立した振動モードを表す。 ωkについての2つ目の式は角周波数と波数の間の分散関係と呼ばれる。
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