鼻毛の処理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/09 15:09 UTC 版)
鼻毛は、先述したように鼻のフィルターの役割を果たしているにも拘らず、鼻孔から露出すると極めて不体裁という理由から、抜く・切るなどの処理がされることが多い。 鼻毛を抜く際には、かつては毛抜きを用いることが多かった。「毛抜き」を別名「鼻毛抜き」と呼ぶことは、既に平安時代の『和名抄』や『名義抄』にも見える。 近年の技術革新により、回転する刃により鼻毛を切除する鼻毛カッターが発明され、鼻毛の処理は自動化された。これを鼻の穴に入れ、バリカンのごとく鼻毛を削ぎ落とすことが可能である。その他、鼻腔の皮膚を傷つけないよう先端が丸く加工された鼻毛鋏や、鼻毛クリッパーなど様々な鼻毛手入れ用品も商品化されている。 衛生学的観点からは、鼻毛を抜くことは決して奨励されない。鼻の穴は、外部からの塵埃や粘膜からの分泌物が常に滞留し、また体温や湿気によって細菌の絶好の培地でもあるため、むやみに鼻毛を抜くと毛穴に雑菌が入り込み、化膿する危険がある。こうした症状は、医学的には「鼻毛毛嚢の化膿性炎症」などの表現がされる。また、鼻毛は脳に近い場所にあるため、鼻毛を抜くと毛根が黴菌により炎症し化膿、最悪の場合脳に影響が及んで死亡する場合があるほか、匂いの感覚が鈍くなる恐れもある(匂いとは、空気中の匂い成分が鼻の奥の嗅粘膜に刺激を与え、そこから脳に届くという仕組みであり、鼻毛を抜いた場所が感染して嗅粘膜がダメージを受けると、脳への刺激伝達が鈍くなり、匂いに対して鈍感になることがある)。鼻毛が少なくなると呼吸器のフィルターとしての機能低下にもつながる。そのため、鼻毛は抜くよりも短く切る方が良いとされる。 美容整形や慢性鼻腔炎などの治療で鼻周辺を手術する際には、衛生のために鼻毛が切られる。 鼻毛を抜いた時に涙が出ることがあるが、必ず抜いた鼻の穴の側の目から出る。これは反射を司る蝶形口蓋神経節は左右にあり、局所的な刺激では片方だけしか反応しないからである。 鼻毛カッターを使った場合、切って残った毛が鼻の粘膜を傷付け、鼻血が出る場合がある。
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