麻酔・毒の使用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/21 20:49 UTC 版)
より大型の動物を対象とした狩猟に用いる際には、針の先に毒を塗布して利用される。これにより獲物を確実にしとめることができる。なお毒の種類によっては外傷から注入されると麻痺ないし致死させるものであっても、人間が食肉として経口摂取しても問題ないものもあり、大型の動物を捕らえる狩猟道具として使われた地域では、そのような毒物利用の文化が発達している。経口摂取で問題を起こさない毒物が入手できなかった地域では、折角の獲物を毒物で汚染させてしまう狩猟用の吹き矢自体はそれほど発達しなかったが、食肉を得る訳ではない遠隔からの麻酔や暗殺などといった用途では利用された。また、こういった毒矢としての利用から、特定の動物種の名に吹き矢が冠されている例もあり、モウドクフキヤガエルのように毒をもつカエルのいくつかは、吹き矢や毒矢に利用されてきた。 使用される毒物に関しては、弓矢による使用(いわゆる毒矢)と合わせアメリカ先住民族(チェロキー族)の使用したクラーレ(d-ツボクラリン)が代表的だが、東インドの未開民族の間ではストリキニーネが、古代のガリア人が使用したヘリボー(ヴェラトリンを主成分とする有毒植物)などが知られている。中でも、筋弛緩剤の一種であるクラーレは適切な量を用いれば打ち込まれた動物は四肢の力がなくなるが、対象を殺さずにすむ(ただし、もし倒れた場合、倒れ方によっては重要な臓器を圧迫して死亡するという事故は起こりえる)。また、クラーレは代謝されて無害化されるので獲物を食用にしても差し支えない。 現代では近距離からの動物の捕獲のため、麻酔薬の入った注射器を矢としたものが獣医師などに利用されている。
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