麺
『星の神話・伝説集成』(野尻抱影)「たなばた・うりばたけ」 七夕祭りにそうめんを供えるのは古くからの習慣だが、起源は中国の伝説にある。高辛子という悪童が7月7日に死んで小鬼となり、疫病を流行させた。高辛子は生前に索餅(そうめん)を好んで食べたので、当日これを供えて祀(まつ)り、一般の人々も食べれば、疫病を免れることができるというのである。
『和漢三才図会』巻第105・造醸類「索餅」 帝王・高辛子(黄帝の曾孫)の少子は7月7日に亡くなった。少子の霊は一足なき鬼神となり、人々を瘧病(おこり)にした。その霊はいつも麦餅(索餅)を食べるので、命日になると、これを供えて祭るのである。
★1b.『遠野物語拾遺』296(*→〔人肉食〕6b)の異伝。
『星の神話・伝説集成』(野尻抱影)「たなばた・うりばたけ」 故佐々木喜善君が「わたし(野尻抱影)」に報じてくれた物語。昔、東北の或る地方でのこと。旅に出た夫の留守に、村の若者たちから言い寄られるのを厭うた妻が、操を守るために川へ身を投げて死んだ。そこへ夫が帰って来て、悲嘆のあまり、死んだ妻の肉と筋を食べた。この夫妻が、七夕の女夫(めおと)星となったのだが、今でもその地方で七夕にそうめんを食べるのは、妻の身体の筋を記念して供養するのだという。
『今昔物語集』巻19-22 夏の頃、某寺で客人たちが麦縄を食べ、いくらか食べ残しが出た。寺の別当が「旧麦は薬になる」と言って、残りの麦縄を折櫃(をりひつ)に入れ、棚に置いてそのまま忘れてしまう。翌年の夏、別当はそのことを思い出し、折櫃の蓋を開けたが、麦縄はなく、小さい蛇がとぐろを巻いていた。何人かがそれを見た。別当は蛇を河に流した。
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