魚類の進化との関連性の有無
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 17:19 UTC 版)
「ダイオウウミサソリ科」の記事における「魚類の進化との関連性の有無」の解説
ダイオウウミサソリ科の多様性の変化は、同じ生息時期の魚類の多様性と対比し、両者の関連性の有無が議論されていた。Romer 1933 では、ダイオウウミサソリ科の多様性の変化は魚類の進化と直接的に関与し、両者は競争していたと考えられた。シルル紀では、ダイオウウミサソリ科の大型種に対して初期の魚類(無顎類)は多くが小型で、本群の獲物になる可能性が高く、特に甲冑魚の硬い表皮は本群の捕食圧から身を守るための特徴だと考えられた。デボン紀前期以降、本群が衰退する同時に魚類の分布域が拡散し、活動的で顎のある大型魚類(板皮類など)も徐々に現れたため、大型魚類は本群のウミサソリ類と競争し、絶滅まで追い払うと推測された。 しかし Romer 1933 の見解は、後に多くの文献に疑わしく見受けられる。その一連の仮説は両者の共存のみを根拠とし、相関関係を示唆する分析や証拠を欠けた叙述に過ぎない。早期の魚類は大きさ的に本群の獲物として充分あり得るが、晩期で両者が競争していた仮説はあまりにも単純で無根拠である。様々なウミサソリ類と化石魚類の共存現象を分析しても、ダイオウウミサソリ科の絶滅と魚類の多様化の相関を支持する証拠が見つからなかった。ダイオウウミサソリ科は確かに魚類の多様化と同じ時期で衰退したが、ウミサソリ類全体的には魚類と同様にデボン紀中期に衰退し、デボン紀後期に再び繁栄し、ペルム紀にまた衰退を迎えていた。Lamsdell & Braddy 2009 ではウミサソリ類の多様性が分類群ごとに分けて分析され、中で本群の衰退は魚類の多様化に相関すると考えられたが、本群は後に McCoy et al. 2015 によって従来の判断より多様なニッチをもつと示され、限れたニッチの絶滅原因としての必然性に疑問を掛けている。
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