馬と猿、猿曳き
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 15:42 UTC 版)
「厩神」も参照 日本には古来、猿は馬を守る守護者であるとする伝承があった。たとえば「猿は馬の病気を防ぐ」として、大名屋敷などでは厩において猿を舞わせる習慣があったが、こうした猿の舞を生業とする猿曳き(後の猿回し)は、柳田國男によれば、元来“馬医”をも生業に兼ねていた。 柳田はまた「厩猿(まやざる)」と呼ばれる習俗を紹介している。これは東北地方に見られる風習で、馬(や牛)の健康、安産、厩の火除けなどを願って猿の頭蓋骨や手、あるいは絵札などを厩に飾るもの。柳田によればこれは非常に古い伝統で、元来は実物の猿を厩につないでいたものだった。厩に猿を飼う風習は古く『梁塵秘抄』や『古今著聞集』にも例があり、また類似の習俗は中国やタイにもあったという。 洛中洛外図屏風(16世紀)に描かれた猿曳きと猿。 庚申信仰の主尊・青面金剛が二匹の猿を従えている。上部には日月を表す二つの円、下部には鶏も見える。江戸時代。 同じく青面金剛。こちらの懸画では猿は「見ざる、聞かざる、言わざる」の三猿になっている。 山王信仰(日吉信仰)の流れを汲む東京・永田町の日枝神社にある猿像。神の使いとされ、狛犬像にかわって神前を守っている。 有名な“日光の三猿”。実はこのレリーフがあるのは「神厩舎」と呼ばれる厩舎であり、「猿が馬を守る」という民間信仰はここにも反映している。
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