順序集合の例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 02:16 UTC 版)
実数全体の集合 R およびその部分集合(例えば、自然数全体の集合 N, 整数全体の集合 Z, 有理数全体の集合 Q)は、通常の大小関係により全順序集合となる。しかし、複素数全体の集合 C には複素数の乗法と"両立"する全順序は存在しない(順序体でない)。単に全順序を入れるだけであれば、直積集合 R × R に辞書式順序を定めることができる。 自然数全体の成す集合は整除関係を順序として半順序集合である。 集合の冪集合に対して、包含関係による順序を入れると半順序集合となる。これはもとの集合の元の個数が2個以上であれば全順序でない。例えば {1, 2, 3} の冪集合 { ∅ , { 1 } , { 2 } , { 3 } , { 1 , 2 } , { 1 , 3 } , { 2 , 3 } , { 1 , 2 , 3 } } {\displaystyle {\bigl \{}\emptyset ,\{1\},\{2\},\{3\},\{1,2\},\{1,3\},\{2,3\},\{1,2,3\}{\bigr \}}} について、例えば {1, 2} と {2, 3} を考えれば、これらは比較不能であり({1, 2} ≤ {2, 3} でも {2, 3} ≤ {1, 2} でもない)、全順序ではない。 線形空間の部分空間全体は包含関係で順序付けられた半順序集合である。 半順序集合 P に対し、P の元の(自然数で添え字付けられた)列全体の成す集合は、列 a = (an)n∈N, b = (bn)n∈N に対し、 a ≤ b ⟺ a n ≤ b n ( ∀ n ∈ N ) {\displaystyle a\leq b\iff a_{n}\leq b_{n}\;(\forall n\in \mathbb {N} )} と定めると半順序集合となる。 集合 X と半順序集合 P に対し、X から P への写像全体の成す写像空間(英語版)は、2つの写像 f, g に対して、f ≤ g を X の任意の元 x に対して f(x) ≤ g(x) となることとして定義すると、半順序集合になる。 有向非巡回グラフの頂点集合は、到達不可能性によって順序付けられる。 半順序集合における順序関係の向きが a < b > c < d … というように交互に入れ替わる列をフェンス(英語版)と呼ぶ。
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