順序論的性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/17 02:16 UTC 版)
実数体の著しく重要な性質は、それがアルキメデス体であること、つまり任意の実数に対して絶対値がそれより大きい整数が存在するというアルキメデスの性質をもつことである。任意の実数に対してそれよりも大きい整数と小さい整数の両方が存在する、と言っても同じことである。アルキメデス的でない実閉体は非アルキメデス順序体である。例えば、超実数からなる任意の体は実閉かつ非アルキメデスである。 アルキメデスの性質は共終数の概念と関係がある。順序集合 F に含まれる集合 X が F において共終であるとは、各 y ∈ F に対し x ∈ X が存在して y < x となることである。つまり、X は F における非有界列を成す。F の共終数は、最小の共終集合の大きさ(つまり、非有界列を与えることのできる集合の最小濃度)である。例えば自然数は実数全体の成す順序集合において共終であり、したがって実数体の共終数は ℵ0 である。 いま実閉体 F の特質を定義する不変量として「F の濃度」と「F の共終数」を得た。これに加えて「F の重み (weight)」は F の稠密部分集合の大きさの最小値で与えられる。これら三種の基数は、任意の実閉体の順序に関する性質の多くを教えてくれるが、それがどのようなものであるかを発見するのは難しいかもしれない(特に一般化連続体仮説を含めない場合には)。成り立つかもしれないし成り立たないかもしれない特定の性質も存在する: 体 F が完備 (complete) であるとは、F を真に含む順序体 K で F が K において稠密となるようなものが存在しないときに言う。F の共終数が κ のとき、この完備性は κ で添字付けられるコーシー列が F において収束することと同値である。 順序体 F が順序数 α に対する η集合(英語版)性質 ηα を持つとは、F の ℵα より小さい濃度を持つ二つの部分集合 L, U で L の任意の元が U の任意の元よりも小さいようなものが任意に与えられたとき、L の任意の元より大きくかつ U の任意の元より小さい x ∈ F が存在するときに言う。これは飽和モデル(英語版)であるというモデル理論的性質に近しい関係がある。つまり、任意の二つの実閉体が ηα となるための必要十分条件は、それらが ℵα-飽和となることであり、またさらに言えば二つの ηα 実閉体はそれらがともに濃度 ℵα ならば互いに順序同型である。
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