音波検層は超音波を利用するもので、発信器(transmitter)と受信器(receiver)を備えた測定電極を坑井内に降下して、地層中を一定区間(1ft または 3ft)走行するの走行時間を測定する検層である。 時間の単位は 1ft あたりのマイクロ秒(μsec/ft)で表される(マイクロ秒は百万分の 1 秒)。この走行時間は岩石の種類によって異なるので、その変化を測定することによっていろいろな物理的性質を解明することができる。図 1 の左に検層の測定原理を示す。円筒状のボディのなかに磁歪{じわい}材料を使用した 1 個の発信器と 2 個の受信器が配置され、発信器より毎秒 15 ~ 20 回の割合で(周波数 20 ~ 30kHz )をパルス(pulse)として地層に向かって発信する。図 1 の左において T は発信器、R1 、R2 はそれぞれ受信器で、パルスを発信すると、そのエネルギーは泥水を通ってある角度(音波伝ぱの臨界角度)で裸坑壁に入り、その壁に沿って地層を走行し、再び泥水を通って各受信器に到着する。二つの受信器に到達する音波パルスの走行経路は TBCR1 と TBDR2 でこの差が CD 間の走行時間として表される。図 1 の右に発信器からの音波発信形、受信器での受信波形をそれぞれ示す。図中のΔt が測定される走行時間である。いろいろな物質の音波走行時間を表 6 に示す。音波検層が石油鉱業で使用される主な目的は、音波走行時間(または音波速度)と孔隙率{こうげきりつ}との間にある関係があり、これにより地層の孔げき率を算出することができるからである。最近使用されている音波検層機は BHC 型(borehole compensated type)で、測定電極の傾斜による測定値への誤差と同様な坑径の変化による測定値への誤差を本質的に除くように設計されている。孔隙率は、地上の測定パネル内に組み込まれたコンピューターで計算し、孔隙率曲線として記録する。図 2 に、記録された BHC 型音波検層柱状図(acoustic log あるいは sonic log)を示す。(→検層) 表 各種物質の代表的な音波走行時間と速度 物質名 | 音波走行時間 (μsec/ft) | 速度 (ft/sec) | 油 | 232 | 4,300 | 水(泥水) | 200~189 | 5,000~5,300 | 頁岩{けつがん} | 167~62.5 | 6,000~16,000 | 岩塩 | 66.7 | 15,000 | 砂岩 | 55.6 | <18,000 | 硬石こう | 55.0 | 20,000 | 炭酸塩 | 47.6~43.5 | 21,000~23,000 | 白雲石 | 42.0 | 24,000 | |