面 (幾何学)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/30 22:08 UTC 版)
初等幾何学における面(めん、英: face)は、立体図形の境界を成す二次元の図形を言う[1]。平坦な面によって完全に囲まれた三次元図形を多面体と呼ぶ。
より一般に、多面体やより高次元の超多面体に関して、任意の次元の一般の超多面体の任意の次元の要素を機械的に表す用語としても「面」が用いられる[2]。
多角形面
初等幾何学における面は多面体の境界を成す(中身の詰まった)多角形を言う[2][3]。別名として、多面体(またはそれ以外の立体)の側面 (side) や平面充填(平面分割)の充填多角形 (tile) などが挙げられる。
例えば、立方体を囲む六つの正方形のどの一つも、この立方体の面である。場合によってはより広く多胞体(四次元超多面体)の二次元要素を表すのに「面」が用いられる。この意味では、例えば正八胞体は24個の正方形面を持ち、それは何れも8個の立方体胞の何れか二つの交面になっている。
正多面体 | 正星型多面体 | 正多角形充填 | 正双曲型充填 | 凸正多胞体 |
---|---|---|---|---|
{4,3} | {5/2,5} | {4,4} | {4,5} | {4,3,3} |
![]() 立方体は各頂点に三つの正方形面が接続する |
![]() 小星型十二面体は各頂点に五つの五芒星面が接続する |
![]() ユークリッド平面の正方形充填は各頂点に四つの正方形面が接続する |
![]() 五位正方形充填は各頂点に五つの正方形面が接続する |
![]() 正八胞体は各辺に三つの正方形面が接続する |
何らかの図形の面とはなっていないほかの多角形にも、多面体や平面充填に対して重要なものが存在する。そのようなものとして、ペトリー多角形、頂点形状や琢刻多角形(多面体の同一面上にない共面頂点によって形作られる平面多角形)などがある。
任意の凸多面体の境界面はオイラー標数
正八胞体は各辺に三つの立方体胞が接続する

正百二十胞体は各辺に三つの十二面体胞が接続する

立方体空間充填(三次元ユークリッド空間を埋め尽くす立方体分割)は各辺に四つの立方体胞が接続する。

四位十二面体空間充填(三次元双曲空間を埋め尽くす十二面体分割)は各辺に四つの正十二面体胞が接続する
ファセット
高次元の超多面体または超空間充填に対して、その余次元 1 の面をファセット (facet) と呼ぶ。すなわち、n-次元多面体のファセットは、その (n - 1)-次元面を言う[6]。任意の超多面体はそのファセットによって囲まれる。
例えば:
- 線分のファセットは、その零次元面である頂点を言う。
- 多角形のファセットは、その一次元面である辺を言う。
- 多面体または一様平面充填のファセットは、その二次元面である面を言う。
- 多胞体または凸一様空間充填(三次元ハニカム)のファセットは、その三次元面である胞を言う。
- 五次元超多面体または四次元ハニカムのファセットは、その四次元面を言う。
リッジ
超多面体および超空間充填の余次元 2 の面は、リッジ(稜、ridge)または劣ファセット (subfacet) という[7]。すなわち n-次元多面体のリッジは、その (n - 2)-次元面を言う。超多面体または超空間充填のリッジは、ちょうど二つのファセットに含まれる面になる。
例えば:
- 多角形または直線充填のリッジは、その零次元面である頂点を言う。
- 多面体または一様平面充填のリッジは、その一次元面である辺を言う。
- 多胞体または凸一様空間充填のリッジは、その二次元面である面を言う。
- 五次元超多面体または四次元ハニカムのリッジは、その三次元面である胞を言う。
ピーク
超多面体および超空間充填の余次元 3 の面は、ピーク(鋒、peak)と言う。すなわち n-次元多面体のピークは、その (n - 3)-次元面を言う。正超多面体または正超空間充填において、ピークはファセットおよびリッジの回転軸を含む。
例えば:
- 多面体または一様平面充填のピークは、その零次元面である頂点を言う。
- 多胞体または凸一様空間充填のピークは、その一次元面である辺を言う。
- 五次元超多面体または四次元ハニカムのピークは、その二次元面である面を言う。
注
注釈
- ^ Matoušek (2002) および Ziegler (1995) はやや異なるが同値な定義を採用している。それは P の内部と交わらない超平面または全空間と P との交わりを考えるものである。
出典
- ^ Merriam-Webster's Collegiate Dictionary (11th ed.). Springfield, MA: Merriam-Webster. (2004)
- ^ a b c Matoušek 2002, p. 86, 5.3 Faces of a Convex Polytope.
- ^ Cromwell 1999, p. 13.
- ^ a b Grünbaum 2003, p. 17.
- ^ a b Ziegler 1995, p. 51, Definition 2.1.
- ^ Matoušek 2002, p. 87; Grünbaum 2003, p. 27; Ziegler 1995, p. 17.
- ^ Matoušek 2002, p. 87; Ziegler 1995, p. 71.
参考文献
- Matoušek, Jiří (2002), Lectures in Discrete Geometry, Graduate Texts in Mathematics, 212, Springer
- Cromwell, Peter R. (1999), Polyhedra, Cambridge University Press
- Grünbaum, Branko (2003), Convex Polytopes, Graduate Texts in Mathematics, 221 (2nd ed.), Springer.
- Ziegler, Günter M. (1995), Lectures on Polytopes, Graduate Texts in Mathematics, 152, Springer
外部リンク
「面 (幾何学)」の例文・使い方・用例・文例
- 彼女なら面識があります
- その畑は約2エーカーの面積がある
- あたりは一面暗く静まりかえっていた
- 多少なりとも真剣ならば,もっと真面目に働いているはずだ
- 彼女は満面に笑みを浮かべていた
- 総力戦;全面戦争
- 面倒なことになるだろうと思っていた
- カーソルを画面の何もない箇所へ移動しなさい
- 円の面積
- その家の床面積は100平方メートルです
- その公園の面積は広い
- 洗面用品
- 君に面会だよ,ジャック
- 1つのテーマをあらゆる面にわたって討議する
- あなたは問題の一面しか考えていない
- 地球の大気は海面付近が一番濃い
- このコンピュータは画面が見にくい
- 強い日差しで地面が乾いて固くなった
- 仮面舞踏会
- 彼は道徳的な面で欠落している
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