霊符・符籙
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 02:32 UTC 版)
中国には何らかの霊的な能力が宿るとされる「符」(おふだ、霊符)が古くから用いられ、天災・人災を防ぐほか、邪悪・病魔を退散させる呪術の一種として普及した。古くは、睡虎地秦簡・日書に符の存在を暗示する「禹符」の文字があるほか、馬王堆帛書・五十二病方にも符を使う記述が見られる。後漢の洛陽郊外の邙山漢墓からは、延光元年(122年)と年代が判明している最古の符が発見された。道教においても古くから符・霊符が用いられ、その結びつきは強く、符籙といった呪術に対抗して生まれた全真教でさえ後になると符を用いていた。 符は、道士によって書写され、紙や布の上に篆書・隷書の文字が書かれたり、文字ではない屈曲した図柄や星・雷の図形などが書かれた。道教経典によれば、太上老君が東方に発する気の形状や、蛇のようにうねる山岳や川の様子を天空から見て描写したとされる。こうして書かれた符は、宇宙の生成化育・変化流転を表し、神秘の力と共鳴して不可思議な力を発揮するとされた。 天師道の家では、7歳から16歳までに道術を学び、道術を会得すれば「符籙」が授けられるとされた。「籙」とは、名簿・記録のことで、天官や神仙の名籙と道士の名冊(登真籙)の二種がある。登真籙には、道士の姓名や道号などが記され、儀式を挙行して霊的に道士の名前が登記され、これによって道士として認められて天神の加護を得ることができた。したがって、道士によって籙は神に授かった非常に重要なものであり、その授受の儀式は荘厳なものであった。籙は霊符とともに用いられることも多いため、「符籙」とも呼ばれる。
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