関連する観測事実
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 16:06 UTC 版)
「修正ニュートン力学」の記事における「関連する観測事実」の解説
1998年以降、銀河の観測とは別の方向からより直接に MOND 説を強化する証拠となりうる観測事実が報告された。 太陽系からはじめて脱出することになった惑星探査機パイオニア10号と11号の速度が予測よりも有意に減少していることが報告され、太陽に向かった未知の力が働いているものとして解釈できることが示された。 この現象はパイオニア・アノマリーと呼ばれ、その原因がさまざまに議論されていた。 もし MOND が主張するように、相互作用が非常に弱い場合、重力が従来信じられていたものよりも相対的に強いとすれば、それはパイオニア・アノマリーに対するひとつの説明となりうるとされていたが、2012年にその全てが探査機に搭載されている原子力電池が発する熱放射の非等方性によって説明できることが明らかになった。 一方、MOND説の検証を促す観測事実もある。遠方の銀河が起こす重力レンズの観測からは、推定された銀河の質量をもちいて一般相対論で予測された効果よりも大きな曲がりが検出されており、これは暗黒物質の存在を示唆している。 MOND そのものは相対論的現象を扱えないので、重力レンズの説明に関しては無力であり、その相対論的バージョンでの重力レンズの説明が必要となる。 また2003年に報告された WMAP 衛星による宇宙背景放射のゆらぎの測定からも暗黒物質と宇宙項を認める Λ-CDM モデルと整合的な結果が得られている。 さらに2006年には弾丸銀河団と呼ばれている衝突銀河団の弱い重力レンズ効果を測定して質量分布を推定することにより、暗黒物質が実際に存在するより直接的な観測結果が報告された。 2007年に実験室レベルでニュートンの第二法則 F = ma が微弱な加速度でも成立するかを確かめた実験結果が報告され、それによれば、重力加速度のある下ではあるが、ミルグロムの主張する a0 を大きく下回る 5×10−14 m/s2 の大きさまで第二法則からの逸脱はみられないことが報告された。
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