開幕戦の特別化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 12:30 UTC 版)
「1993年Jリーグ開幕節」の記事における「開幕戦の特別化」の解説
Jリーグ事務局は、日本初のプロサッカーリーグの開始を告げる開幕戦の盛り上げに特に力を入れた。1993年のJリーグは全10チームにより毎節5試合が週2回、水曜日と土曜日に全試合同日開催 で実施する予定を組んだが、開幕節に限っては例外として分散開催とした。1980年代からJSLの2強として人気や実力が抜きん出ていた読売サッカークラブと日産自動車サッカー部から生まれ、日本代表にも複数の選手を送っているヴェルディとマリノス の対戦をリーグ全体の開幕戦として土曜の夜に行い、他の4試合は1日遅らせて日曜開催とした。また、NHK総合テレビによる全国中継を行うため、19時00分開始という原則を曲げて、この開幕戦だけは19時30分開始とした。 チケット販売に関しても、この試合では特殊な体制を取った。購入希望者は郵送で購入申し込みを行い、当選者がチケット代金を振り込むと購入者の名前が印刷された特製のチケットが郵送された。これは観戦者の記念になるようにと配慮されたもの とされるが、同時にダフ屋行為と呼ばれるチケットの不法転売を防止する効果もあった。この開幕戦への人気は高く、抽選は高倍率となった。 また、この試合の開催地は日本サッカーの象徴となる場所として、ヴェルディの当時の本拠地である等々力陸上競技場(神奈川県川崎市)ではなく、当時はJリーグのクラブがなかった東京都内の国立競技場が選ばれた。Jリーグは「地域密着」の理念を掲げ、各チームに自らが本拠地とするホームタウンを重視した活動を行うように指導していたが、この試合だけは例外だった。このように、チケット販売方式も含め、この試合はヴェルディの主催試合ではあるものの、完全にJリーグ事務局が直轄して運営する試合となった。そしてJリーグは「サッカーの王様」ペレや国際サッカー連盟 (FIFA) の広報担当者、メキシコシティオリンピックでの銅メダル獲得を導き日本サッカーの礎を築いたデットマール・クラマーなどの来賓を招き、海外へのアピールも試みた。
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