金属ばね
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 21:16 UTC 版)
金属と非金属にばね材料を分けると、金属ばねが特殊な場合を除いて一般的に用いられている。コストが安いながらも、大きな力を受けることができたり、大きなたわみ量を確保できたりするのが金属ばね全般における利点である。金属材料の中でも、強度と汎用性の高さから特に鉄鋼材料が広範囲で用いられている。ばね用の鋼材は「ばね鋼」という名称でも呼ばれ、弾性限度を上げるために一般的な鋼材よりも材料中の炭素濃度が高められている。ばね鋼は大きく分けて冷間成形用と熱間成形用がある。冷間成形とは材料が常温の状態でばねの形へ加工することで、比較的小型のばねの成形に適している。熱間成形とは材料を高温に熱した状態でばねの形へ加工することで、比較的大型のばねの成形に適している。ばね鋼の種類としては、炭素を主な添加元素とする炭素鋼、あるいは炭素以外の元素を特別に加える合金鋼が使われる。他の鉄鋼材料としては、耐食性と耐熱性に優れたステンレス鋼が用いられている。 ばねに使われる非鉄金属の材料としては、黄銅、リン青銅、洋白、ベリリウム銅といった銅合金材料が一般的である。銅合金の電気伝導性の良さを利用して、コネクタなどで抵抗や発熱を減らすために使われる。他には耐食性や非磁性も長所として持っているが、鋼材料と比べるコストが高い欠点もある。 他の非鉄金属材料としては、耐食性、耐熱性ならびに耐寒性が優れたニッケル合金もばね材料として用いられている。特にインコネルがニッケル合金の中でも一般的である。400℃以上の高温領域で使用されるようなばねで、ニッケル合金材料が用いられている。鋼と比較して大きな軽量化が可能な材料として、チタン合金もばねに使用されている。チタン合金は鋼と比較して弾性率と比重が小さいため、ばねの軽量化が可能となる。一方でコストが高いという欠点もある。
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