釉と焼成法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/29 14:05 UTC 版)
煎茶器や古代の彩陶など、例外も一部にあるが、中国のやきものの多くは、表面に釉(釉薬、うわぐすり)というケイ酸塩ガラスの被膜がほどこされている。中国陶磁の基礎釉には、植物灰を原料とする高火度焼成釉(摂氏約1,200度以上で焼成)の灰釉(かいゆう)と、溶媒として鉛を含む低火度焼成釉(約800度前後で焼成)の鉛釉(えんゆう)がある。これらは、原料に含まれる金属成分の違いや焼成方法の違いにより、さまざまな色合いに変化する。陶磁器の焼成法には酸素の供給度合によって、酸化炎焼成と還元炎焼成があり、後者は窯内に十分に酸素を供給せずに焼成するものである。酸欠状態で焼成することによって、胎土や釉中の酸素が奪われ、たとえば酸化第二鉄が酸化第一鉄に変化(還元)する。青磁とは、釉の成分の灰に含まれるわずかな鉄分が酸化第二鉄から酸化第一鉄に変化することによって発色するもので、これを酸化気味に焼成すると黄色系に発色する。釉中に鉄分を多く含むと黒釉となり、呈色剤として銅を用いると紅釉、コバルトを用いると瑠璃釉となる。白磁とは、白色の釉をかけたものではなく、白い素地に鉄分含有の少ない透明釉を掛けて焼成したものである。鉛釉は、基礎釉は透明であるが、これに呈色剤として酸化銅を用いると緑釉となり、他に酸化鉄呈色の褐釉、コバルト呈色の藍釉がある。三彩とは、鉛釉陶器の一種で、1つの器に緑釉、褐釉、藍釉の3色の釉を掛け分けたものである(いずれか2色のみの場合も「三彩」と呼ぶ)。清時代には、以上に述べた以外の多彩な色釉が開発されている。
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