釉上彩
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/03 03:52 UTC 版)
イスラームにおけるファイアンスはヨーロッパのそれと同じものではない。アッバース朝のイラクで9世紀に発明されたこの技法は、粘土質の胎土に不透明の釉(酸化錫であることが多い)を施し、その上に金属の酸化物で装飾を描くというものである。最も良く使われた色はコバルトの青であったが、銅の緑、マンガンの褐色、アンチモンの黄色など他の色も存在した。 どちらも釉上彩であるセルジューク朝以後のハフト・ランギとモンゴル支配下のラージュヴァルディーナ彩では革新があった。焼く回数を増やし(少なくとも2回)、いずれも酸化焼成であるが、代わりに温度を下げてゆく「小焚」によって、より熱に弱い色も焼くことが可能になり、赤・白・黒・金・緑・褐色・青・紫などの幅広い色を得ることが可能になった。 ラスター彩(金属光沢) はイスラームの陶芸に特有の技法の1つであり、ヨーロッパでは14世紀になるまで取り入れられなかった。恐らく9世紀のイラクで発明されたこのファイアンスでは、1度目は酸化焼成(900-1000℃)、2度目はより低温で還元焼成(600-700℃)の2度焼きを行う。酸化物(銀もしくは銅)は還元されて釉内部で薄膜を形成し、これにより金属光沢でモチーフを描き出すことが可能となり、そのため「ラスター彩」(英: luster 光沢)と呼ばれている。
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