部分系な救済
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 04:48 UTC 版)
シクロール模型全体が破綻すると、一般的にはその要素が否定されることになった。例外としては、J・D・バナールが、タンパク質の折り畳みは疎水性結合によって行われるというラングミュア-リンチ仮説を短期間で受け入れたことが挙げられる。にもかかわらず、1950年代には、天然に存在する小さな環状ペプチドにシクロール結合が確認された。 現代の用語を明確にすることは適切である。古典的なシクロール反応は、あるペプチド基のアミノ基(NH)が別のペプチド基のカルボニル基(C=O)に付加するもので、得られる化合物は現在アザシクロールと呼ばれている。同様に、ペプチドのカルボニル基にヒドロキシ基(OH)が付加するとオキサシクロールとなる。同様に、ペプチジルカルボニル基にチオール部位(SH)を付加すると、チアシクロールが形成される。 菌類であるClaviceps purpurea由来のオキサシクロールアルカロイドであるエルゴタミンが最初に同定されたシクロールであった。また,環状デプシペプチドであるセラタモリドもオキサシクロール反応で生成される。また,化学的に類似した環状のチアシクロルも得られている。また、低分子やトリペプチドには古典的なアザシクロールが見られる。ペプチドは、アザシクロール形成の逆反応から自然に生成される。これは、シクロール模型の重要な予測である。エネルギーが不利に高いためにそのような分子は存在しないはずだというライナス・ポーリングの計算にもかかわらず、現在では何百ものサイクロル分子が同定されている。 主にX線結晶学の数学に取り組んでいた長い中断の後、リンチはこれらの発見を受けて、シクロール模型と生化学におけるその関連性に新たな熱意を持って取り組んだ。彼女はまた、シクロール理論と低分子ペプチド一般について記述した2冊の本を出版した。
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