遺伝因子として遺伝子異常が同定されたもの
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 04:50 UTC 版)
「糖尿病」の記事における「遺伝因子として遺伝子異常が同定されたもの」の解説
1型、2型の糖尿病は、その原因が完全に明らかにはなっていない。一方この項目に分類される疾患は、特定の遺伝子の機能異常によって糖尿病が発症している、という原因がわかっている糖尿病である。頻度は極めて稀。いずれも比較的若年(一般的に25歳以下)に発症し、1型ほど重症ではなく、強い家族内発症がみられるという特徴があるが、臨床所見は大きく異なる。 若年発症成人型糖尿病 純粋に糖尿病のみを来すメンデル遺伝疾患で、常染色体優性遺伝を示す。内服薬による治療が奏効する場合が多い。 MODYにはMODY1 - 6という6種類の病型が知られている。MODY1では肝細胞核転写因子 (HNF) 4αを、MODY2ではグルコキナーゼを、MODY3ではHNF1αを、MODY4ではインスリンプロモーター因子 (IPF) 1を、MODY5ではHNF1βを、MODY6ではneuroD1をコードする遺伝子にそれぞれ変異が認められる。 ミトコンドリア遺伝子異常 そのメカニズム通り(参考: ミトコンドリアDNA)母方のみから遺伝し、難聴を伴うMIDD、最重症型で脳卒中・乳酸アシドーシスなどを来すMELASなど多彩な病像を呈する。 ミトコンドリア遺伝子異常にはいくつかの変異ポイントがあるが、最多のものは3243A->G変異である。 インスリン受容体異常症 黒色表皮腫や体毛が濃いなどの特徴的な体格がみられる。糖尿病として診断されるのはヘテロ接合型の患者であり、ホモ接合型では乳児期以降まで生存しない。膵臓のインスリン分泌能は十分であるため、血糖値を下げようと大量のインスリンが分泌され、血中のインスリン濃度が異常高値を示す。他のタイプと違いインスリン投与が無効だが、インスリン様成長因子の投与により血糖値を下げることが可能である。 インスリン自体の遺伝子異常 報告されているが極めて稀である。インスリン投与が有効である。 いずれも診断にはゲノムDNAやミトコンドリアDNAを検体とした特殊な検査が必要である。
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