適用分野および内容
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/24 18:56 UTC 版)
「ブラッセル体制」の記事における「適用分野および内容」の解説
ブラッセル条約は、以下で条数のみ記載する。 ブラッセル体制は、民事および商事事件を適用範囲とする(1条)。紛争の主要な争点が家族法、破産などの倒産手続、社会保障、仲裁のうちいずれかに属する場合は、ブラッセル体制の対象外である。 2条は裁判管轄に関する一般規定であり、人は住所を有する国において訴えられることができると規定している。住所は各国法に基づき受訴裁判所によって判断される(52条・53条)ため、ある人が複数国に同時に住所を有することもあることになる。 4条は、締約国に住所を有しない被告に関する裁判管轄は既存の規定による旨定める。したがって、被告の住所が締約国外であれば、ブラッセル体制は適用されず、事件を審理する各国裁判所が各国法における裁判管轄に関する法律により判断することになる。4条はまた、一締約国が裁判管轄について途方もない規定を置いている場合、他の締約国に住所を有する者にもその規定の適用を主張することを許している。例えばフランスが自国民に対して任意の者を自国裁判所で訴えることを認めている場合にこの規定は有益である。というのは、例えばフィンランド国民であってもカナダのような非締約国に住所を有する者をフランスの裁判所で訴えることができるからである。 特別管轄は5条~16条に規定があり、これらの規定が適用される事件については、原告は2条により被告住所国の裁判所に提訴するか、特別管轄地の裁判所に提訴するかを選択することができる。例えば、以下の事件についてはそれぞれ以下の地の裁判所が管轄を有する(5条)。 契約事件 - 義務履行地 扶養義務事件 - 権利者の住所地または常居所地 不法行為または準不法行為事件 - 損害発生地 ブラッセル条約およびブラッセルI規則の解釈は、欧州司法裁判所(ECJ)の管轄に属する。ルガノ条約にはECJへの付託を認める議定書が付属していない。各国裁判所の解釈(ルガノ条約についてはECJの解釈も)は事実上影響力を有するものの、拘束力は持たないため、各国間でこれらの条約等の解釈をめぐって多様な相違が発生している。 また、ブラッセル体制は当事者間での裁判管轄合意を基本的に認めている(17条)ことにも留意すべきである。 ブラッセル体制は締約国の裁判所のみにおいて適用されるため、非締約国が競合する訴訟手続を行うことは妨げられない。もっとも、フォーラム・ノン・コンビニエンス(en:Forum non conveniens)の適用により訴訟手続を停止することもあり得る。
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