造波抵抗とは? わかりやすく解説

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ぞうは‐ていこう〔ザウハテイカウ〕【造波抵抗】

読み方:ぞうはていこう

船など流体中を運動する物体が、波をつくり出すことによって受ける抵抗高速になるほど大きくなる


造波抵抗

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/01 15:07 UTC 版)

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造波抵抗(ぞうはていこう、: Wave drag)は水の上を動く物体が受ける抵抗の1つである。造波抵抗は、英国の流体力学の科学者で船舶設計者でもあったウィリアム・フルード(William Froude、1810 - 1879)が考案したフルード数によって分析された[1]。水の上を動く物体とは多くが船であるため、以下では簡単のために船で説明する。

船が航走する時の抵抗は次の3つに分解出来る。

船が低速で航走している時は船が受ける抵抗の主体は粘性摩擦抵抗であるが、速度が上がれば造波抵抗が主体となってくる。粘性摩擦抵抗は船体周囲の水流と船体表面の摩擦による抵抗である。粘性圧力抵抗は後部でを作る時の圧力差によって後ろに引かれる抵抗である。造波抵抗は船の航走時に波を作るためにエネルギーが失われるために生じる抵抗であり、船の速度の2乗に比例して増す[2]

造波抵抗係数

造波抵抗係数とフルード数の関係
フルード数が0.5を越えると造波抵抗係数は最後の山を越えてあとは減少する[1]

造波抵抗自体は圧力の次元を持つが、これを無次元化して以下の数式で表される造波抵抗係数 Cw が扱われる。

ここで、Rw :造波抵抗、σ:水の密度S :船体の浸水表面積、V :船の速度である。

考察対象が船の場合は、フルード数に対して造波抵抗係数は一義的に決まる。フルード数が0.5を越えると造波抵抗係数は最大値から減少する[1]

航空力学における造波抵抗

造波抵抗の概念は、水類似によって拡張され、大気中を飛行する航空機においても適用される。飛行速度が音速に達する場合、大気の圧縮により衝撃波が形成され、それにより造波抵抗が発生する。航空機における造波抵抗は、その値が音速付近で急速に増大するため、音速前後で発生するその他の問題(境界層剥離など)も含めて「音の壁」「音速の壁」と呼ばれることもある。

この場合、速度を表す無次元数にはフルード数の代わりにマッハ数が用いられる。

出典

  1. ^ a b c (財)防衛技術協会編 『ハイテク兵器の物理学』、2006年3月ISBN 978-4-526-25644-8 
  2. ^ 池田良穂 『船の科学 BLUE BACKS』 (1版) 講談社、2007年12月20日ISBN 978-4-06-257579-9 

関連項目


造波抵抗

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/24 14:06 UTC 版)

バルバス・バウ」の記事における「造波抵抗」の解説

船首では水面掻き分けて進む時に波が生じる。この波は引き波呼ばれ引き波生み出すためのエネルギー損失を船が推進する時の抵抗と見做せる。この抵抗が造波抵抗である。これを小さくすることは、航行速度高め燃費改善する重要な要素である。

※この「造波抵抗」の解説は、「バルバス・バウ」の解説の一部です。
「造波抵抗」を含む「バルバス・バウ」の記事については、「バルバス・バウ」の概要を参照ください。

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主翼上面エンジン配置形態HondaJetの外観上の最大の特徴は、主翼上面にエンジンを取り付けたそのユニークなスタイルにある。一般的なビジネスジェット機のエンジンは胴体後部に取り付けられるが、HondaJetではそれを主翼上面に配置した。これにより従来は胴体内部に必要であったエンジン支持構造が不要となるため、胴体内のスペースが30%以上も拡大したと同時に、客室内の騒音や振動が軽減され乗り心地の改善を可能とした。また、胴体後部両舷にエンジンを取り付ける場合に比べ、高マッハ数での造波抵抗が小さくなる位置があることをHondaが発見した。一般的な層流翼を用いた解析と実験から、エンジンを主翼上面の最適な位置に配置することにより抵抗発散マッハ数が0.75から0.03程度上昇することが示された。HondaJetの主翼には翼厚比15%の層流翼が用いられており、この主翼単体の抵抗発散マッハ数は0.707程度となっている。この翼型に主翼上面エンジン配置形態を適用することにより、抵抗発散マッハ数は同様に増加すると考察され、HondaJetの最大巡航マッハ数0.72において、主翼上面エンジン配置形態による空力抵抗減少の効果が得られていることとなる。この最適な主翼上面エンジン配置形態を採用しているHondaJetは、クラス最高の最大巡航速度、燃費性能及び航続距離を獲得している。また、造波抵抗を軽減させた主翼上面エンジン配置形態技術の先駆者並びにHondaJetの設計開発の功績が認められ、開発責任者で設計者の藤野道格は2012年に米国航空宇宙学会より「エアクラフトデザインアワード」を、2014年に学術団体「SAEインターナショナル」より「ケリー・ジョンソン賞」を、国際航空科学会議より「航空工学イノベーション賞」を受賞した。自然層流技術
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