辺境性・依存性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/28 16:59 UTC 版)
島嶼の持つ隔絶性は、多くの場合大都市からの遠隔性、本土(本島)に対する辺境性をもたらすものである。その結果として小さな島の島民はしばしば、本土や主要な島に住む人々からの侮蔑や無関心にさらされてきた。これは、離島の立地条件からくる高コストや市場からの距離と並ぶ島々の低開発の要因となっている。宮本常一が語るように、島は地域的には独立性を持ちつつ、社会経済的には本土へ何らかの形で従属的に結びつかねばならない運命を持った存在である。すなわち島は本土への依存性に特徴づけられる。 一方では近世廻船航路の前線として栄えた日本海や瀬戸内海の島々のように、歴史的にみれば島々は交通の要衝や漁業の基地として繁栄を喫したことも少なくない。河地貫一の言葉を借りれば、島々の後進性は「資本主義の発展過程で歴史的に形成されたものであり、海上交通における帆船から汽船への移行を内容とする近代の交通革命が、資本主義発展の中で離島が後進地域としてとり残されていく最初の決定的な契機となった」。 エレン・センプルが指摘したように、クレタ島やマン島、マンハッタン島など小さな島が本土(大きな島嶼群)を支配してきた歴史的事例もある。フィジー諸島にある面積わずか0.8km2のバウ島(英語版)は、17~18世紀にかけてフィジー王家の所在地であった。グリューデホイは、周縁性の強い島ばかりをみて島嶼性を論じることは、マンハッタンやシンガポールを見て島を一般化するのと同じくらい馬鹿げている、として、「島嶼都市研究」の重要性を説いている。
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