軌道形成の由来
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 14:40 UTC 版)
「エキセントリック・プラネット」の記事における「軌道形成の由来」の解説
太陽系惑星と比較してその歪んだ軌道の由来に関しては諸説あるが、複数惑星系でホット・ジュピターが存在する場合は「スリングショットモデル」という比較的シンプルなモデルで説明することが出来る。以下にコンピュータ・シミュレーションによる軌道進化の計算例を紹介する。 どの惑星系においても、当初は惑星の公転軌道はほぼ真円に近い状態で誕生するが、巨大ガス惑星が3個以上存在した場合にはある程度時間が経過すると軌道の歪みが発生。うち1個の惑星は系外に放り出され、残った2個の惑星も非常に離心率の大きな軌道になる。 これは3個の惑星間で公転中互いにやりとりするエネルギーが、特定の惑星に集中してしまうことに起因する。この現象はほぼ例外なく、ある一定の期間(1 - 2桁の誤差がある)を超えると発生するが、巨大ガス惑星が2個以下の場合(すなわち太陽系ならば木星と土星のみ)は「一定の期間」が標準的な恒星の寿命より遥かに長く、事実上は円軌道のまま安定する。よって、太陽系は半永久的に各惑星がほぼ円軌道のままという計算結果も出ている。一方で巨大ガス惑星が3個以上存在すると「一定の期間」は惑星の質量や軌道間隔に大きく左右されるようになる。大質量の惑星が狭い軌道間隔を取っている場合は、その期間は恒星の寿命より短くなり、惑星系が形成されてしばらくすると軌道交差が発生する。 その他の説として、巨大惑星と原始惑星系円盤との相互作用によって離心率が上昇する可能性も指摘されている。ただしこのメカニズムでは離心率が0.4を超えるようなエキセントリック・プラネットを説明することは難しい。また、惑星が連星系に属する恒星を回っている場合、伴星の重力によって軌道離心率が増大することが考えられるが、そのような惑星は発見されたエキセントリック・プラネットの一部でしかない。
※この「軌道形成の由来」の解説は、「エキセントリック・プラネット」の解説の一部です。
「軌道形成の由来」を含む「エキセントリック・プラネット」の記事については、「エキセントリック・プラネット」の概要を参照ください。
- 軌道形成の由来のページへのリンク