路線所有権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/10 08:45 UTC 版)
1980年代以降、列車の運行を行う鉄道会社を保有する会社と駅や線路などの施設を保有する会社を分離するという、上下分離方式の傾向が強まっている。特にヨーロッパでは欧州連合が国有鉄道の上下分離を指導しているため、欧州連合加盟国の国有鉄道は上下分離方式となっている。これにより、旧国有鉄道の線路に私鉄の列車が乗り入れることが可能になるオープンアクセスが可能になった。例えばイタリアでは国鉄のフェッロヴィーエ・デッロ・スタートの線路をレーテ・フェッロヴィアーリア・イタリアーナが保有し維持管理を行い、国鉄の列車運行業務を引き継いだトレニタリアのほか私鉄のヌオーヴォ・トラスポルト・ヴィアッジャトーリが列車を運行している。なお、フェッロヴィーエ・デッロ・スタートは2019年現在も合資会社として存続している。イギリスではネットワーク・レールが旧イギリス国鉄の路線を保有し維持管理を行っており、旅客列車の運行は列車運行会社協会に加盟している会社の統一ブランド、ナショナル・レールが運行している。 アメリカ合衆国では、ニューヨーク市地下鉄やシカゴ・Lのような都市内高速鉄道とワシントンD.C. - ボストン間の北東回廊を除くほぼ全ての路線は貨物会社によって保有されている。アムトラックなどの旅客列車はこれらの貨物鉄道の路線を間借りして運行している。これは日本におけるJR旅客6社とJR貨物の立場が逆転している状態である。この結果旅客列車は貨物列車よりも優先順位が低く、時として長時間の遅延が発生することもある。これらの路線には連邦鉄道局 (FRA) によって安全規制が公布・適用されており、路線維持にはアメリカ鉄道工学および維持管理協会 (AREMA) の、車両にはアメリカ鉄道協会 (AAR) の規制が適用される場合もある。
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