超越論的理想
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/21 16:22 UTC 版)
「ザーロモン・マイモン」の記事における「超越論的理想」の解説
カントが感覚所与と呼ぶものは数学の「微分dx」に類似し、直観の内容としては限りなくゼロに近いが、他の感覚所与に対する未展開の関係性を内に秘めている。構想力はこれらの感覚所与をまとめあげて現象としての客観をつくりだし、悟性は感覚所与相互の関係性を概念化して捉える。マイモンは認識される事実世界を微分方程式の体系のように想定しているのである。他方、カントが言うように理性は自らがつくりだして対象の内に置いておいたものだけをアプリオリに認識するのであるから、認識は究極まで進展すると、理性の働き方すべてが反映された産物、すなわち理性の自己像(超越論的理想)を対象の内に捉える。以上より、人間精神(魂)は経験の中で感性に拘束されつつも、個々の微分方程式を解いていくように、意識に現前する世界を知性化しながら「神・人間の魂・世界」の「三位一体」を顕すこの超越論的理想へと向かう。彼によると、この理想はいっさいの哲学説を「連合」させる「虚焦点」なのである。
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