走行での暖機運転
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/01 21:00 UTC 版)
近年では自動車やオートバイの暖機運転を、停車状態のアイドリングではなく、負荷や回転数を抑えた走行により行うことが推奨される場合が多い。これは「走行暖機」とも呼ばれ、以下のような理由による。 停車状態で暖機運転を行うよりも省燃費である。冷間時は燃料供給量を増やす補正が行なわれている為に、通常のアイドリングストップ以上に効果がある。 エンジンの高性能化が進み、負荷や回転数を抑えても充分に走行可能な車両が多い。 アイドリング程度のエンジン回転数ではオイルポンプの回転数も低く、暖まっていない粘度の高いオイルを潤滑経路の末端まで圧送できない場合がある。始動直後の油圧計は高い値を示すが、これは計測部位がポンプの直後に配置されている為であり、クランクシャフトやカムシャフトではまだ油圧が不足している可能性がある。 アイドリング運転ではエンジンにほとんど負荷が掛からない為に発熱量も少なく、なかなか温度が上がらない。また走行中とは温度の分布が異なる為に、理想的なクリアランスが得られないばかりか、シリンダーヘッドの熱歪みを起こす可能性がある。 冷間時はピストンクリアランスが大きく、クランクケースへの未燃焼ガスの漏出が多い。その結果オイルにガソリンが混入し潤滑性能の低下を招く可能性がある。そこで、できるだけ早くエンジンを暖めて適正クリアランスに近づける目的で走行暖機を行う。 エンジン以外にも変速機、サスペンション、タイヤ等の暖機を必要とする部品は多いが、これらは停車状態では暖まらない。 停車状態での暖機運転が完了してエンジンが充分に暖まっていても、走行開始直後はゆっくりとした速度、つまり負荷や回転数を抑えた慣熟走行を行うことが望ましい為に、これと暖機運転を兼ねる意味もある。
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