財政の定義と機能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/09 06:15 UTC 版)
政府の財源には、1)税金、2)国債、3)貨幣発行益の3つがある。 経済学では、経済循環における1つの経済主体である政府の経済的行動として「財政」を定義している。財政は以下の3つの機能を有する。 資源配分機能 財政は、その活動により市場を通じては供給が過少になりがちな公共財を必要量供給できる。公共財にはインフラストラクチャーや学校教育、国防などがある。 所得再分配機能 仕組みにも寄るが、累進課税や雇用保険制度により所得格差の緩和が可能になる。 需要創出効果 財政赤字の経済学的な効果としてマクロ経済学の立場からは乗数効果による有効需要の創出があげられる。ヨーロッパでは財政赤字に対して規制をおこなっている。恣意的な財政政策による需要調整に対しては、有効であるとする立場、無効であるとする立場などがある。 経済は、もし財政が存在しなければ非常に不安定であり、恐慌や、不況に見舞われることがある。その際に財政は、自由に歳出を伸ばすことによって財政赤字を生み出し、有効需要を創出する。その後に景気回復が起こった場合に税収が多くなることを期待して赤字財政とすることは経済安定効果の面からも正当化されるという主張がある。公債はそのような意味での経済安定効果を持つと考えられてきた。 一方ではマネタリストなどが恒常所得仮説により、そのような効果を持つことはないと批判している。この学派によれば財政政策よりも金融政策の方が有効な景気対策である。一方、ヨーゼフ・シュンペーターの経済学では、景気変動はただ景気の波によるのであって、自由競争による創造的破壊こそが有効な景気変動への対策であるとされている。 財政自体の効果として経済の自動安定化機能(ビルト・イン・スタビライザー)がある。詳細は「ビルト・イン・スタビライザー」を参照
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