負荷脳血流シンチグラフィー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 07:09 UTC 版)
「シンチグラフィ」の記事における「負荷脳血流シンチグラフィー」の解説
アセタゾラミド負荷 炭酸脱水素酵素阻害薬であるアセタゾラミドは選択的かつ強力な脳血管拡張作用を有し、正常組織では局所脳血流が50~80%ほど増加する。これは毛細血管レベルの炭酸ガス蓄積によるものと考えられている。この負荷の目的は脳の抵抗血管を生理的な最大限まで強制的に拡張させることにより脳循環予備能を測定することである。副作用としては頭痛、ふらつき、口唇周囲や四肢末梢のしびれ感などがよく出現し、1時間~半日ほど持続する。小児では脳血流の増加による脳圧亢進で嘔吐することもある。血管拡張作用に基づく脳内盗血現象がおこるため脳梗塞急性期では投与を避けるべきとされている。無尿や乏尿でも投与は禁忌である。JET研究では最終発作から3週間以上経過したあとに行なっている。 アセタゾラミドの投与方法は別日法と分割投与法(1日法)が知られている。別日法はその名のとおり、安静時とアセタゾラミド負荷日を別にして撮影を行う。脳血流の生理的変動を捉えてしまう可能性がある。脳の位置を合わせるのは統計処理画像をもちいれば比較的容易である。分割投与法はトレーサーを同量ずつ2回に分割する。それぞれ条件をかえて連続した2回の撮影を行う。1時間程度で2条件の撮影ができるためアセタゾラミド負荷ではよく用いられる。ECD-RVR法(ECD-resting and vascular reserve法)とIMPをもちいたDTARG(dual table sutoradiography)が知られている。 アセタゾラミド負荷後の心不全、肺水腫による死亡例が報告されていることから適正使用指針 (PDF) が公開されている。 ECD-RVR法 patlak plot法により全脳血流を定量することが特徴である。高血流領域でECDは直線的に増加しないためLassenの補正を用いる。 DTARG法 標準入力関数と1点動脈採血を用いたARG法を発展させ、分割投与法に応用したものである。ARG法と異なりダイナミック撮影で行う。
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