諸藩の状況
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/08 13:42 UTC 版)
この頃、日本中の諸藩では、財政問題や戊辰戦争における藩内の内紛があった。江戸時代、各藩主は代替わりごとに領地の所有を将軍に承認されていたが、徳川幕府の瓦解によって領地所有の法的根拠が失われていた。また、戊辰戦争においては近代兵器を用いた戦争に藩主はほとんど指導力を発揮できず、藩内において藩主の権威が失墜していた。さらに、戦乱による被害と藩の権威の低下により、戦闘の場となった関東や東北などでは農民一揆が続発して年貢の徴収も滞りがちであった。 酒井忠邦が版籍奉還の建白書を提出した背景にも藩内の内紛があった。姫路藩では、戊辰戦争において朝敵とされた徳川家の処遇や、徳川家と酒井家の主従関係が否定される事に不満を抱いた元藩主酒井忠績(江戸幕府最後の大老)が明治元年5月に独自に所領没収を嘆願する嘆願書を新政府に提出し、その結果、同藩の佐幕派が粛清される事件が起きた。その後実権を握った尊王派は、急進的な国政改革を志向するとともに、忠績の路線を吸収する形で藩制度を改革してより中央の統制が働く県への移行を求める建白書を提出した。
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