課題と実践活動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/12 16:10 UTC 版)
日本では高度経済成長期の通勤混雑や公害、エディット・クレッソンが「うさぎ小屋(cage a lapins)」と揶揄した狭小家屋などを改善すべく、官民あげての取り組みが行われてきた。1985年(昭和60年)に開催された国際科学技術博覧会のテーマが「人間・居住・環境と科学技術(Dwellings and Surroundings - Science and Techonology for Man at Home)」であり、住環境への関心が高まっていたことを物語る。 日本では都市型水害などが問題となっているが、特に非都市定住者にとって自然災害は生活圏を脅かすものであり、その原因とされる地球温暖化の要因には都市が排出する熱の影響が指摘されており、エネルギー効率改善都市のような取り組みが注目される。また、スラムやゴーストタウンあるいはインナーシティ、日本では限界集落のような過疎地域と対極的な東京一極集中を筆頭とする人口過密が人間居住の先行きを危ういものにしかねず、コンパクトシティは有効と思われる。さらに高齢化社会におけるバリアフリー化や、コンピューターインターネット社会における快適性を追求するスマートシティ(英語版)の実現も望まれる。 近年の欧米では居住科学に自然と人間の共生やスローライフの思想が取り込まれ、都市農業・近郊農業を導入する田園都市が盛んになってきている。また、欧州連合(EU)では人間中心主義(ヒューマニズム)に基づく人間都市(ヒューマンシティ)を立ち上げた。 先進国では人口減少社会へと転じたが、途上国では人口爆発による人口過多が収まらず、住宅不足が懸念されている。加えて被災地の仮設住宅や紛争地における難民キャンプのような一時的な居住空間の環境改善も検討されるべきで、国際連合がアジェンダ21で「持続可能な人間居住の開発の促進」を明記し、持続可能な開発のための2030アジェンダでは持続可能な開発目標(SDGs)において「包括的で安全かつ耐久的な人間居住の実現」を掲げている。 2016年に開催されたハビタット3(英語版)において、21世紀の都市生活を探求するニューアーバンアジェンダが採択された。
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