話者について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/05 19:22 UTC 版)
現在アイスランド語話者は約30万人おり、その内大多数はアイスランドに居住している。他にはデンマーク・ノルウェー・カナダ・アメリカ合衆国にそれぞれ数千人程度の話者が居住・移住している。 現在アイスランドでは、小学校にて自国語の他に英語及び、旧宗主国であった国の言語であるデンマーク語が教科として教育されており、そのためアイスランド人はこれらの言語も多少話せる。 アイスランド人の言語慣習について特筆すべきことの1つとして、アイスランド人名に姓、換言すれば苗字が無いことが挙げられる。人名は通常「人名(ファーストネーム) + 父称」のように名付けられる。父称とは、「父親の名の属格形 + 息子(あるいは娘)」という形をとる。例えば世界的に有名なシンガーソングライターであるビョークの本名 “Björk Guðmundsdóttir” は、ファーストネームは一般の西欧人と同様に “Björk” であるが、その次は 「“Guðmund” の娘 (dóttir)」と続いている(“Guðmunds”は属格形)。また、男性名の場合、父親名(の属格形)に “-son” (「息子」の意の “sonur” と同語源)を付けて父称とする。例を挙げると、画家のエイナル・ハウコナルソン “en:Einar Hákonarson” の名の父称部分は「"Hákon”(属格形 Hákonar)の息子」となっている。ただし、外国人を祖先にもつ人には必ずしも適用されておらず、一例を挙げると、父がノルウェー人であるアイスランドの前首相ゲイル・ホルデの本名は “Geir Hilmar Haarde” であり、ラストネームが “-son” で終わっていないため姓であることが分かる。アイスランドでのこのような慣習は、中世のある時期まで北方ゲルマン民族では一般的だったが、大陸では後に姓を付けるようになり、孤島のアイスランドだけが現代まで変えることなく受け継いできた。なお、元々姓を持たないアイスランド人には、婚姻により氏名を変更するようなことは(外国人と婚姻する場合を除き)ない。つまり、家族内でも同性兄弟の場合のみ、同じ父称であり、例えば父・母、兄、妹という組み合わせの家族であれば、全て違う父称となることが通例である。
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