詰将棋の特性に関する用語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 05:14 UTC 版)
作意 作者が意図した手順のこと。詰将棋の代表的な正解手順とされる。変化同手数などのキズがある場合、作意手順以外にも正解手順となりうる手順があるため、作意手順だけが正解手順ではない。 偽作意 作意手順と思わせて実は詰まない手順(後述の紛れに含まれる)。 紛れ 詰みそうに思えて詰まない手順。当然ながら、紛れが多いほど難解な詰将棋となる。 不完全作 詰将棋として成立していない作品のこと。詰まない作品や、余詰(後述)があるため作意手順が一意に定まらない作品が代表的な不完全作である。山口瞳によれば、某氏作の詰将棋が不完全作(余詰)だったために日本将棋連盟渉外担当の芹沢博文が電話呼び出しを受けたケースがあったという。山口はこれについて、「詰将棋に余詰は免れがたいというのが僕の思想である」と述べている。 キズ 詰将棋としては成立しているが、作品として評価する場合に減価事項のひとつとされるもの。後述の最終手余詰、変化長手数、変化同手数、変化別詰、非限定などが該当する場合がある。 変化 玉方の応手によって、作意手順から分岐する詰め手順。変化が多岐にわたったり、作意と変化との見極めが難しくなるほど難解な詰将棋となる。 余詰 攻め方の応手によって、作意手順以外に発生する詰め手順。作意より長いか短いかは問わないが、作意より短い余詰を特に「早詰」と呼ぶことがある。最終手以外に余詰がある詰将棋は不完全作となる。 最終手余詰 最終手(残り1手で詰む状態)で複数の1手詰の手順があったり、3手以上で詰む詰め手順が別にあること。普通の余詰と異なり不完全作とはしないが、程度によってはキズとなる。 変化長手数(変長) 変化手順のうち、作意手順より手数が長くなるもの。変化長手数があると作意手順が不正解となるため通常は不完全作であるが、例外的に、作意より2手だけ長くかつ駒余りとなる場合(2手変長)は不完全作とはしない。 変化同手数(変同) 変化手順のうち、作意手順と同手数のもの。駒余りの場合はその手順は不正解であるため問題はないが、持ち駒が余らない場合はキズとなる。ただし、最終2手の変同は問題ないものとされる。また、非限定(後述)がある場合は、その後の手順が本質的に同じであれば変化同手数には含めない。 変化別詰(変別) 作意手順より短く詰むか駒余りになる変化手順があるときに、その変化手順の途中の攻め方の指し手で分岐する別の詰め手順があり、その手順が作意手順より長く詰むか同手数で持ち駒が余らない手順であること。変別手順は通常は不正解となる。また、余詰と異なり変化別詰があっても完全作であるが、程度によってはキズとなる。 駒余り 詰め上がりで攻め方に持ち駒が余ること。作意手順で駒余りになる場合、初期の古典詰将棋では不問とされていたが現在では不完全作として扱う。変化手順にのみ駒余りがある場合は完全作である。ただし、大道棋では、慣習的に駒余りを許容し完全作として扱う。 非限定 走り駒(飛車・角行・香車)の打つ位置や合駒の種類、成・不成の選択、最終手などが1つに定まらない(どちら/どれでもよい)場合。その後の手順が本質的に同じであれば許容範囲であるが、そうでない場合はキズとなる。 無駄合 ただ取られるだけでその後の手順を本質的に変化させず、最後まで使われずに駒余りになってしまう合駒のこと。その合駒を取ってしまうと駒余りで不完全作となってしまうため、その合駒を打つ手順を除外することによって完全作として成立させる例外規定である。
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