評議の秘密
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 09:19 UTC 版)
アメリカでは、アメリカ合衆国憲法修正第1条により、審理前の報道が自由に行われるのと同様、審理後に陪審員が評議の内容を話すのも自由であり、評議の体験談をタブロイド紙、出版社、テレビ局などに売る者さえいる。このため、注目を集める事件などでは、内幕話を売ろうという思惑によって陪審員の行動がゆがめられてしまったり、記者が陪審員らに強引に取材をしたりするという問題もある。一部の裁判所では、例外的に、報道機関に対し、陪審員からの取材内容についての規制を課すこともあるが、陪審員自身に対する規制を課すことはほとんど行われない。 一方、イングランド、ウェールズ、北アイルランド、カナダでは、陪審員が評議の内容を明らかにすることは禁止されている。イングランド・ウェールズでは1981年法廷侮辱罪法8条により評議内容を聞き出したり漏らしたりする行為を罰する明文規定を設けたが、これに対しては陪審制についての学術的研究の妨げになっているとの声もある。オーストラリアでは、報道機関が審理終了後に陪審員に接近する行為は法廷侮辱罪で処罰されるが、陪審員個人が自分から無償で話をすることは許されている。ニュージーランドでも、判例法により、報道機関が陪審員にインタビューをする行為は法廷侮辱罪で処罰される。
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