計画の実態と背景
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/18 01:03 UTC 版)
柏通信所へロランC局を建設する計画は、「核兵器を搭載した原子力潜水艦に指令を出す施設」という野党の主張とは異なり、朝鮮半島有事の際に在韓米軍と韓国軍の地上部隊を支援するための全天候・夜間航空打撃能力(all-weather/night air strike capability)に纏わる問題が背景となって策定された。当時、アメリカ太平洋空軍(PACAF)が朝鮮半島で夜間や悪天候時に実施可能だった爆撃手段は、地上のビーコン(航空無線標識)やAN/TPB-1(地上レーダー式爆撃方向指示装置)を利用した誘導システムに依存していたため、不意の急襲などによってシステムが途絶した場合に有効な代替機能が確保されておらず、抗堪性を欠いた状況にあった。しかし、ベトナム戦争における東南アジアの航空作戦では、試験評価を兼ねてロラン誘導による攻撃システムを運用した結果、全天候任務の遂行に必要とされる多用途性や正確さが得られていたことから、アメリカ太平洋軍総司令部(CINCPAC)は既存の北西太平洋ロランCチェーンを新たな誘導方式に利用する計画を立案し、状況改善を図ることとした。これは従来よりロランC局として運用されていた十勝太通信所(FAC 1060、北海道十勝郡浦幌町)と慶佐次通信所(FAC 6007、沖縄県国頭郡東村)の施設に改修を施して機能を向上させるとともに、新たなロランC局を追加建設することによって、システムの有効範囲を朝鮮半島全域並びに中朝国境付近を流れる鴨緑江北方まで拡大させることを期待したもので、計画承認時にコマンドー・ライオン(Commando Lion)というコードネームが付けられた。。
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