見切り販売独禁法違反事件と損害賠償訴訟
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 18:36 UTC 版)
「セブン-イレブン」の記事における「見切り販売独禁法違反事件と損害賠償訴訟」の解説
セブン-イレブン・ジャパンがフランチャイズ加盟店に対し、売れ残った弁当などの値引きを制限している独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いがあるとして、2008年(平成20年)10月から、公正取引委員会が調査を進めていたことが2009年(平成21年)2月に判明した。調査は「本部の優越的地位の濫用があったかどうか」について行われたが、2月の報道以降、値下げを始めた複数のオーナーは廃棄が減って利益が増えたとしている。2009年5月、公正取引委員会は優越的地位を利用してこうした見切り販売制限を行うことは、独占禁止法に違反するとして排除措置命令を出す方針を決めたと報じられた。 2009年(平成21年)6月22日、公正取引委員会はセブン-イレブン・ジャパンに対し排除措置命令を出した。公取委の命令によると、加盟店に対して弁当などの「見切り販売」をした加盟店に対し、本部側の担当者らが契約の更新ができないなどということで見切り販売を制限したが、これは「優越的な地位の濫用」にあたると認定した。廃棄分の原価は加盟店側が負担する会計方式では値引き販売ができないと加盟店の負担は大きくなり、捨てることになる弁当などが、現状で1店舗あたり年平均約530万円に達していることも指摘し、公取委がセブン側に見切り販売の際のマニュアル作成を求めているという。この廃棄分は全店舗では年に600億円にのぼる。なおセブン-イレブン以外でも値引き制限があるとして、複数の他チェーンオーナーが公取委に申告したとされる。 排除措置命令を受けた翌6月23日、セブン-イレブン・ジャパンは売れ残った弁当などの廃棄損失の15%分を本部が負担すると発表した。 しかし本件については、不当な見切り販売制限による損害を3,000万円とし賠償を本部に求めた裁判を8月に福島県内のオーナーが起こした。また本部は7月以降値引き販売をしている複数の店主に、会計や本部への不信感を生じさせるマスコミへの取材協力・値引きを利用した不正行為などの理由により契約解除を通告したり、解除を示唆し、一部の店主らは「値引き販売への報復」と反発している。 弁当などの値引き販売を実施したことに対し、本部が契約解除などをちらつかせるなど圧力をかけたとして、2010年(平成22年)9月15日に福岡地裁は、加盟店の元店長の訴えを認め、本部の行為が独占禁止法違反にあたるとして、賠償を命じる判決を言い渡した。値引きの制限を明確に独禁法違反と認定するのは、これが日本国内初のこととなった。 2014年(平成26年)10月、加盟店側が損害賠償を求めた裁判が、2009年(平成21年)に東京高裁で起こされた、裁判の最高裁での上告審の結果、見切り販売の妨害は「独占禁止法違反」であるとして、会社側から加盟店に対して、1,140万円の支払いが命じられた第一審の判決が確定した。 上記の事柄を理由として株式会社セブン-イレブン・ジャパンはブラック企業大賞2015を受賞している。
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