製品の高度化と電器店の衰退・量販店の勃興
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/09 09:51 UTC 版)
「電器店」の記事における「製品の高度化と電器店の衰退・量販店の勃興」の解説
1980年代に入ってくると次第に家庭向けの電気機器は高度で複雑な物となり、また取り扱う種類も増えたために一介の「街の電器屋さん」では修理はおろか詳細な製品説明すら難しくなった。またテレビゲームや8ビットパソコン(8ビット御三家やMSX等を参照)・ワープロのような電子機器の市場に総合家電メーカーが興味を持ち始め、ますます「街の電器屋さん」の手に負えない状況となった。 特に家電普及当初にその多くが開店した「街の電器屋さん」では高齢化も進み新製品への対応が難しくなった所もあるが、その一方で精密な製品も増え到底「街の電器屋さんに持っていけば直してくれる」というサービス形態を維持できず「壊れた家電製品はメーカー修理」が当たり前となってしまった。加えて専門の技術者による修理では人件費も高く付くため、結果的に「修理に出すと高く付く」という傾向が発生している。 またこの時期には、量販店の走りとも言えるディスカウントストアが増加、雑貨に混じって家電製品も扱うようになり、品質的には多少難のある製品(安価な三流メーカーや海外メーカーのコピー商品や型遅れの旧来製品)を安価で扱うようになると、次第に定価販売が原則の「街の電器屋さん」の市場を侵食していった。ただこの当時、ディスカウントストアで扱われる製品は必ずしもすべての消費者に受け容れられていたわけではなく、品質や性能に難があっても安売りを狙う消費者のみが利用していた。 1990年代になるとこの傾向はますます加速、海外生産拠点で安い人件費で組み立てられた安価な製品が出回るようになると、修理費と買い替えた時の価格の逆転現象すら発生、さらには家電量販店が出て来たことでますます修理コストのほうが割高となる傾向が顕著となってしまった。 この時代になると「街の電器屋さん」はもはや消費者にとって「家電メーカーとの取次ぎ」でしかなく、せいぜい「電気製品を家に配達してくれて、設置までしてくれる」という存在にすぎなくなってしまっていた。この状況下では「街の電器屋さん」は魅力を欠き世代交代が起こりにくくなったため、店主の高齢化を理由に閉店するケースも続発している。地方町村ではこの名残で錆びたシャッターや色褪せた看板などが、当時の面影を残している。
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