蒸気機関車の複式化の背景
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/02 10:22 UTC 版)
「複式機関」の記事における「蒸気機関車の複式化の背景」の解説
鉄道の機関車において、複式機関の主な利点は、より長いサイクルで温度と圧力を変換して効率を上げ、燃料と水を節約して高い出力/重量比を達成できる点である。さらに、トルクが平坦化される結果、多く乗り心地が改善され軌道への影響が少なくなる。急勾配かつ軸重が低い場合、複式機関車が最も現実的な解と考えられたが、最適性能を発揮するには熟練した操作のために各々の機関車に専任機関士を配置する必要が生じ、利便性を下げてしまうことになった。蒸気機関車時代の末期、アンドレ・シャプロンやリビオ・ダンテ・ポルタなど、この分野の研究者もこうした問題に直面した。複式機関車の設計には、熱力学や流体力学の的確な知識が重要であるにもかかわらず、設計者がこれを欠く事が多かったため、過去の設計の多くは最適とは言い難いものとなった。20世紀初頭に製造された機関車で特この傾向が顕著で、必ずしも複式機関特有の問題ではなかったが、長い蒸気流路の途中で温度低下と凝縮が起きやすいこの種の機関で特に影響が大きかった。1929年以降、古い機関車を改造する際、シャプロンは蒸気流を改善し、蒸気温度が下がらないように大型の過熱器を取り付けるなどして、出力と効率性を大幅に、しかも安価に改善した。さらに温度をより一定に保つため、高圧シリンダーと低圧シリンダーの間に再過熱器(リヒーター)とスチームジャケットの付いたシリンダーを試験用の貨物機関車、160 A 1型に取り付けた。再過熱はポルタの改造機「プレシデンテ・ペロン/アルヘンティーナ」でも取り入れられている。単式機関の支持者は、シリンダーを早めにカットオフ(英語版)して少量の蒸気を送ることで、複雑で初期費用の高い複式機関の必要性はなくなると論じ、現在まで続く議論となっている。
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蒸気機関車の複式化の背景
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/01 06:11 UTC 版)
「複式機関車」の記事における「蒸気機関車の複式化の背景」の解説
鉄道の機関車において、複式機関の主な利点は、より長いサイクルで温度と圧力を変換して効率を上げ、燃料と水を節約して高い出力/重量比を達成できる点である。さらに、トルクが平坦化される結果、多く乗り心地が改善され、軌道への影響が少なくなる。急勾配かつ軸重が低い場合、複式機関車が最も現実的な解と考えられたが、最適性能を発揮するには熟練した操作のために各々の機関車に専任機関士を配置する必要が生じ、利便性を下げてしまうことになった。蒸気機関車時代の末期、アンドレ・シャプロンやリビオ・ダンテ・ポルタなど、この分野の研究者もこうした問題に直面した。複式機関車の設計には、熱力学や流体力学の的確な知識が重要であるにもかかわらず、設計者がこれを欠く事が多かったため、過去の設計の多くは最適とは言い難いものとなった。20世紀初頭に製造された機関車で特この傾向が顕著で、必ずしも複式機関特有の問題ではなかったが、長い蒸気流路の途中で温度低下と凝縮が起きやすいこの種の機関で特に影響が大きかった。1929年以降、古い機関車を改造する際、シャプロンは蒸気流を改善し、蒸気温度が下がらないように大型の過熱器を取り付けるなどして、出力と効率性を大幅に、しかも安価に改善した。さらに温度をより一定に保つため、高圧シリンダーと低圧シリンダーの間に再過熱器(リヒーター)とスチームジャケットの付いたシリンダーを試験用の貨物機関車、160A1型に取り付けた。再過熱はポルタの改造機「プレシデンテ・ペロン/アルヘンティーナ」でも取り入れられている。単式機関の支持者は、シリンダーを早めにカットオフ(英語版)して少量の蒸気を送ることで、複雑で初期費用の高い複式機関の必要性はなくなると論じ、現在まで続く議論となっている。
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