莢膜 [Capsule]
ある種の細菌は細胞壁の外側に光を屈折する透明な粘液質またはゼリー状の膜をもっている場合がある。多くは多糖であるがペプチドの場合もある。その発育が良く、外周との境界が明瞭なものを莢膜といい、境界が不明瞭なものを粘液層(粘層)あるいはエンベロープという。一般的に呼吸器感染症をおこす細菌ほど莢膜をもつ傾向があり、とくに臨床的に分離されたばかりの細菌では、厚くて丈夫な莢膜をもっている。また、培地上で何回も植え継いでゆくと莢膜ができなくなるが、増殖は良くなる。莢膜をもたなくなった変異株も知られているが、動物組織中へ移植すると莢膜をもつようになる場合もある。細菌は莢膜をもつことによって、宿主の食細胞(マクロファージ)に認識されにくくなり、そのために貪食作用を受けにくくなる。 また、食細胞に貪食されても、莢膜によって食細胞の殺菌酵素の作用から細菌自身を守ることができるので、それだけ食細胞の中で長く生き延びて病気をおこす能力が強く保たれる。また、莢膜多糖は耐熱性の種々の莢膜抗原(K抗原)として知られ、細菌の血清学的な型分類(血清型)に有用である。肺炎連鎖球菌(肺炎双球菌)はその典型的な例である。
なお、連鎖球菌のMタンパク質やチフス菌のVi抗原のような場合には、それらの細菌の外膜を微小莢膜(micro-capsule)とよぶこともある。莢膜をもつ細菌としては肺炎連鎖球菌、肺炎桿菌(フリードレンデル桿菌)、炭疽菌、インフルエンザ菌、髄膜炎菌、百日咳菌、ブドウ球菌、緑膿菌などが知られている。莢膜を染色、観察する方法には、一般にヒス法が用いられ、莢膜は薄赤色、菌体は濃赤色に染まる。
なお、連鎖球菌のMタンパク質やチフス菌のVi抗原のような場合には、それらの細菌の外膜を微小莢膜(micro-capsule)とよぶこともある。莢膜をもつ細菌としては肺炎連鎖球菌、肺炎桿菌(フリードレンデル桿菌)、炭疽菌、インフルエンザ菌、髄膜炎菌、百日咳菌、ブドウ球菌、緑膿菌などが知られている。莢膜を染色、観察する方法には、一般にヒス法が用いられ、莢膜は薄赤色、菌体は濃赤色に染まる。
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