色相(Hue)、彩度(Saturation)、輝度(Luminosity)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/02 03:04 UTC 版)
「ブレンドモード」の記事における「色相(Hue)、彩度(Saturation)、輝度(Luminosity)」の解説
Photoshopにおける「色相(hue)」、「彩度(saturation)」、「カラー(color)」、「輝度(luminosity)」のブレンドモードは、「hue(色相)」「chroma(クロマ)」「luma(ルマ)」の3つの要素を持つ「HCL色空間」に基づいたものである。なお、本項目では有名画像編集ソフトであるPhotoshopのブレンドモードを基準として解説しているが、注意して欲しいのが、Photoshopで採用されている「HCL色空間」は、Photoshop以外のほとんどのソフトで採用されている「HSL色空間」や「HSV色空間」とは全くの別物であり、3者は「色相(hue)」の要素しか共通していない。そのため、これらの違いを知らないとソフトによって全く別々な結果となり、別のソフトを使ったときに焦ることとなる。詳しくはHCL色空間の項目を参照のこと。 前述のすべてのブレンドモードにおいては、上のレイヤーは下のレイヤーが持つそれぞれのチャンネルに対して独立に作用していたが、ここで解説する各ブレンドモードにおいては、特定の要素については上のレイヤーの物によって上書きされ、残りの要素については下のレイヤーの物がそのまま使われる、と言うような動作を行う。ブレンドした結果、色がHCLの色域をオーバーしてしまった場合は、HCLの色域における色相とルマの連続的な線に従って、色がHCLの色域の内部に再配置される。そのため、行った操作が非可逆的に元に戻せなくなるという欠点がある。具体的に言うと、例えば上のレイヤーを「彩度」で下のレイヤーにブレンドした後で、その上から前もってコピペしていた下のレイヤーのコピーを「彩度」でブレンドしたとしても、元の画像と同じものにならない場合がある。 色相(Hue)のブレンドモードは、下のレイヤーの輝度(ルマ)と彩度(クロマ)はそのままで、上のレイヤーの色相で上書きされる。 彩度(Saturation)のブレンドモードは、下のレイヤーの輝度(ルマ)と色相はそのままで、上のレイヤーの彩度(クロマ)で上書きされる。 カラー(Color)のブレンドモードは、下のレイヤーの輝度(ルマ)はそのままで、上のレイヤーの色相と彩度(クロマ)で上書きされる 輝度(Luminosity)のブレンドモードは、下のレイヤーの色相と彩度(クロマ)はそのままで、上のレイヤーの輝度(ルマ)で上書きされる。 Photoshopで採用されているこれらのブレンドモードは、RGBよりも人間の知覚に遥かに近い色空間に基づいているため、知覚される明度を変更せずに画像の色を修正(カラーコレクション)し、色相やクロマを変更せずに明度のコントラストを操作することができる。人間の視覚は、色のコントラストよりも微弱な明度のコントラストの方に遥かに敏感であるため、「輝度」のブレンドモードは画像のコントラストを上げるためによく使われる。詳しくはコントラストの項目を参照のこと。 Photoshop以外のほとんどの画像編集ソフトは、Photoshopの色空間と似ているが異なる色空間を採用し、Photoshopのブレンドモードと同じようなブレンドモードを実装している。Photoshop以外の一般的な画像編集ソフトが採用している色空間はHCL色空間ではなく、HSV色空間(HSB色空間)またはHSL色空間である。HSV色空間に基づくブレンドモードは一般的に、色相(hue)、彩度(saturation)、明度(brightness)という3つの要素から構成されている。HSL色空間またはHSV色空間を使用すると、ほとんどの操作が(少なくとも理論的には)可逆的に元に戻せるという利点がある。具体的に言うと、例えば上のレイヤーを「彩度」で下のレイヤーにブレンドした後で、その上から前もってコピペしていた下のレイヤーのコピーを「彩度」でブレンドすると、元の画像と同じものになる。しかし、HSL色空間およびHSV色空間のスケールは、Photoshopが採用するHCL空間のスケールほどには人間の知覚に馴染まないという欠点がある。
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