色盲になった画家
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 23:49 UTC 版)
神経学者オリヴァー・サックスの著書『火星の人類学者』の中では、大人になってから交通事故での傷害が原因で色覚を失ってしまったある画家(書籍中では I氏と呼ばれている)の話が紹介されている。色覚を失った原因としてサックスは、交通事故時の脳内出血によってV4野周辺になんらかの傷害を負ったがためではないかと推理している。とはいえ色覚を失ったあとでもI氏はとにかく色についてよく知っていたという。以下サックスの説明。 彼はすべてのものの色を驚くべき正確さで知っていた。何色かというだけでなく、それが長年つかってきたパントン社の色相表では何番かまで正確に覚えていた。ヴァン・ゴッホの絵のビリヤード台の緑はどれか、すぐに答えることができた。好きな絵の色はすべて知っているのに、現実に絵を前にしても、頭のなかですら、その色をみることができなかった。いまとなっては色は言葉による記憶でしかなかった。
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